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大阪高等裁判所 平成3年(ネ)1172号 判決 1994年4月22日

主文

一  一審被告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。

1  一審原告が、原判決別紙第一目録記載の各不動産につき、それぞれ本判決別紙目録記載の持分権を有することを確認する。

2  一審被告は一審原告に対し、右各不動産の右各持分につき、いずれも遺留分減殺を原因とする所有権移転登記手続をせよ。

3  一審被告は、一審原告に対し二二七二万八二三一円を支払ったときは前項の所有権移転登記義務を免れることができる。

4  一審被告は一審原告に対し、七五一万九五五七円及び内金五四万八二七四円に対する昭和六二年七月三一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

5  一審原告の主位的請求及びその余の予備的請求を棄却する。

二  一審原告の控訴を棄却する。

三  訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを五分し、その二を一審原告の負担とし、その余を一審被告の負担とする。

事実

一  申立て

(一)  平成三年(ネ)第一一六一号事件

(一審原告)

1 原判決中一審原告の主位的請求を棄却した部分を取り消す。

(主位的請求)

(1) 亡松本コウ作成名義の昭和六二年一月五日付自筆証書による遺言は無効であることを確認する。

(2) 原判決別紙第一目録(以下「第一目録」という。)記載の各不動産につき、一審原告が三分の一の共有持分権を有することを確認する。

(3) 一審被告は一審原告に対し、第一目録1ないし4、7ないし10記載の各不動産についてなされている原判決別紙第一登記目録(以下「第一登記目録」という。)1ないし4、7ないし10記載の各登記につき、それぞれ原判決別紙第二登記目録(以下「第二登記目録」という。)1記載のとおりの更正登記手続をせよ。

(4) 一審被告は一審原告に対し、第一目録5、6記載の各不動産についてなされている第一登記目録5、6記載の各登記につき、それぞれ第二登記目録2記載のとおりの更正登記手続をせよ。

(5)(一) 一審被告は一審原告に対し、原判決別紙第二目録(一)(以下「第二目録(一)という。)記載の各株式につき、それぞれ三分の一の割合の株券を引き渡せ。

(二)  仮に右株券引渡の強制執行が不能となったときは、一審被告は一審原告に対し、不能となった株券につき、第二目録(一)株価欄記載の各株価によって算出した金員を支払え。

(6) 一審被告は一審原告に対し、金八七九万三五五三円を支払え。

2 仮に前項の主位的請求が認容されないときは、原判決を次のとおり変更する。

(予備的請求)

(1) 第一目録記載の各不動産につき、それぞれ一審原告が同目録原告主張持分欄記載の共有持分権を有することを確認する。

(2) 一審被告は一審原告に対し、第一目録記載の各不動産につき、遺留分減殺を原因として、それぞれ同目録原告主張持分欄記載の各持分の所有権一部移転の登記手続をせよ。

(3)(一) 一審被告は一審原告に対し、第二目録(一)記載の各株式につき、それぞれ同目録持分欄記載の各株券を引き渡せ。

(二)  仮に右株券引渡の強制執行が不能となったときは、一審被告は一審原告に対し、不能となった株券につき、口頭弁論終結時の各株価によって算出した金員を支払え。

(4) 一審被告は一審原告に対し、四五四万四三六三円及びこれに対する昭和六二年一月二七日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

3 訴訟費用は、第一、二審とも一審被告の負担とする。

4 仮執行宣言(1の(5)、(6)、2の(3)、(4)につき)

(一審被告)

1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は一審原告の負担とする。

(二)  平成三年(ネ)第一一七二号事件

(一審被告)

1 原判決中、一審被告敗訴部分を取り消す。

2 一審原告の請求を棄却する。

3 訴訟費用は、第一、二審とも一審原告の負担とする。

(一審原告)

1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は一審被告の負担とする。

二  主張

次に付加・訂正・削除するほかは、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。

1  原判決四枚目裏三、四行目の「検認された」の次に「が、右遺言の内容は、コウの遺産である第一目録の不動産、第二目録の株式、第三目録の預貯金はすべて被告に相続させるというものであった。」を加え、五枚目表八行目と九行目との間に次のとおり加える。

「(5) 本件遺言書には押印及び日付の記載が欠けていた。現に存在する押印及び日付の記載は、コウの死亡後に何びとかによってなされたものである。」

2  同六枚目表四行目の「ところで」から七行目の「である」までを「しかるに一審被告は、本件遺言は有効であると主張し、一審原告の本件各物件に対する右共有権を争っている」と、一〇行目の「更生登記」を「更正登記」と、裏一行目と二行目の「本件口頭弁論終結時の株価により算出された金員」を「別紙第二目録(一)株価欄記載の各株価によって算出した金員」とそれぞれ改め、同七枚目裏七行目の「9」を削除し、八枚目表三行目の「その合計額の六分の一」を「価額弁償として、相続財産に対する前記遺留分額の割合」と改め、同裏八行目の「否認する。」の次に「コウの有していた株式のうち右以外の分は、第二目録(二)被告主張分のとおりコウの死亡前に売却処分されていたものである。」を加える。

3  同一〇枚目表一一行目の「思表示をした。」を「思表示をしたうえ、同年五月一七日到達した書面により、原判決で認定された本件不動産に対する遺留分減殺による原告の共有持分価格に相当する一二〇五万〇七七三円と預金・株式に対する減殺分相当の一八〇八万八三四四円との合計三〇一三万九一一七円を支払う旨の通知をするとともに、その支払方法について指定するよう求めることにより弁済の提供をしたので、遺留分減殺による現物返還義務は消滅したものである。」と改める。

4  同裏二行目の「抗弁1、2の事実」を「抗弁1の事実」と、七行目の「ならず」から八行目の「足りない。」までを「ならないというべきところ、右のような通知だけでは未だ現実の履行又は弁済の提供がなされたものということはできないから、これによって現物返還義務が消滅するものではない。」とそれぞれ改める。

三  証拠(省略)

理由

一  主位的請求について

次に付加・削除するほかは原判決理由の説示と同一であるからこれを引用する。

原判決一一枚目表六行目の「及び右証言」から七行目の「甲第六号証に」までを削除し、同一二枚目表三行目と四行目との間に「なお、原告は、本件遺言書のコウの押印及び日付の記載はコウの死亡後になされたものであるかのように主張するが、これを認めるに足りる証拠はなんら存在しない。」を加える。

二  予備的請求について

次に付加・訂正・削除するほかは、原判決理由の説示と同一であるからこれを引用する。

1  原判決一三枚目表九行目の「原本」から裏三行目の「株式が」までを「甲七号証の一ないし一〇、一二によれば、株主名簿上、相続開始時においてこれらの株式の株主がコウである旨記載されていたことが認められるところ、甲第一〇号証の三二ないし三五、第一三号証の九及び証人森恵照の証言並びに弁論の全趣旨によれば、これらの株式は、近畿日本鉄道株のうちの八六八株、日本郵船株のうちの一〇〇株、立石電機株のうちの一五〇株、ヒロセ電機株のうちの二一〇株、山一証券株のうちの六〇株、新日本証券株のうちの一〇〇株(甲七号証の一ないし三、七、八、一〇及び弁論の全趣旨によれば、これらの株式は株券が発行されていないいわゆる登録株であることが認められる。)を除いて、すべてコウの死亡前に売却されていたことが認められるので、これらの売却された株式が相続開始の時にコウが有していた株式ということができないことは明らかであるが、それ以外の分は、相続開始の時にコウが有していた株式と推認するのが相当である。また、右売却された株式も、それが」と改める。

2  同一四枚目表一〇行目の「7」の次に「のヒロセ電機株については昭和六二年一月二三日に一〇〇〇株が二八九万〇九六〇円で、8」を加え、同一五枚目裏七行目の「鉱業」を「工業」と改め、八行目の「株」の次に「、近畿日本鉄道八六八株、日本郵船一〇〇株、立石電機一五〇株、ヒロセ電機二一〇株、山一証券六〇株、新日本証券一〇〇株」を加える。

3  同一七枚目表一一行目の「被告は、」から同二一枚目裏二行目の末尾までを次のとおり改める。

「 乙第五号証の二、四ないし一八、二〇、二二ないし三九、乙第五号証の一九、二一、証人太田光男、同川村和子、同松本慶次の各証言、原告及び被告各本人尋問の結果によれば、次の事実が認められる。

<1>  原、被告らの父松本慶太郎(昭和五五年四月一二日死亡)は、原告の夫である前川克洋名義で四〇九二万五〇五三円を定期預金として信用組合大阪商銀に預けていた。

<2>  慶太郎の遺産については相続人間で遺産分割協議が整い、それぞれに慶太郎の遺産を相続したが、右定期預金については、遺産分割の前後を通じてコウが一貫してこれを管理し、満期(一年)ごとの切替手続きもコウがしてきた。

<3>  この定期預金は、昭和五八年一月一七日の切替えの際に、二〇〇〇万円の定期預金二口に分けられたが、これが満期となった同六〇年一月一七日ころ、コウはこの中の一口分(二〇〇〇万円)を原告に譲渡した。

右事実によれば、慶太郎の右定期預金は遺産分割によってコウがこれを取得したものであり、昭和六〇年一月一七日ころ、このうち二〇〇〇万円がコウから原告に生前贈与されたものであり、かつ、この贈与は、その額からみて生計の資本として受けたものと推認するのが相当というべきである。

証人河村和子の証言によれば、右のほかに、原告がコウから生計の資本として贈与を受けた財産が存在するかもしれないと推測されないわけではないけれども、結局は推測の域を出るものではなく、それを認めるに足りるだけの確証があるということはできない。

そうすると、遺留分算定の基礎として加算されるは、慶次に対する別紙第四目録記載の不動産の贈与と原告に対する右二〇〇〇万円の贈与のみということになる。」

4  同二二枚目表七行目の「右各不動産」から同二七枚目裏一、二行目の「ことになる。」までを次のとおり改める。

「 鑑定の結果(平成四年一月二四日付及び同年八月二〇日付各鑑定評価書)によれば、本件各不動産の相続開始時の価額は、1が六五五〇万円、2が二六八〇万円、3が三三〇万円、4が二〇三〇万円、5が二六五〇万円、6が一九〇万円、7ないし10が合わせて四一五万円、合計一億四八四五万円であることが認められる。また、甲第三号証の一ないし五によれば、別紙第四目録記載の各不動産の昭和六二年度の固定資産税評価額は合わせて四九九万八一五〇円であるのに対し、7ないし10の不動産(山林)を除く1ないし6の各不動産のそれは合わせて三八四三万二〇七七円であることが認められるところ、右1ないし6の不動産の相続開始時の合計価額(一億四四三〇万円)は同不動産の右固定資産税評価額の約三・七五倍であるから、別紙第四目録記載の各不動産の相続開始時における価額は、同不動産の前記固定資産税評価額の約三・七五倍にあたる一八七四万円と推認するのが相当である。

(2) 本件株式の価額

相続開始時にコウが有していた株式が椿本チェイン五〇〇〇株、小西六写真工業八〇〇〇株、川崎重工業一〇万株、住友金属一万株、近畿日本鉄道八六八株、日本郵船一〇〇株、立石電機一五〇株、ヒロセ電機二一〇株、山一証券六〇株、新日本証券一〇〇株であったことは前記のとおりであるところ、乙七号証によれば、右時点における東京証券取引所での各株式の終値(一株)は、椿本チェインが三四八円、小西六写真工業が六四七円、川崎重工業が二一一円、住友金属が一六七円、近畿日本鉄道が九二〇円、日本郵船が五三五円、立石電機が一三四〇円、ヒロセ電機が二九五〇円、山一証券が一七七〇円、新日本証券が一四九〇円であったことが認められるので、右株式の相続開始時の価額は三一六一万三七六〇円となる。したがって、コウが相続開始時に有した財産のうち本件株式に関するものの価額は、これに前記株式売却代金を加算した六一七三万八三一二円となる。

(3) 以上によれば、本件遺留分算定の基礎となる財産の価額は、コウが相続開始時において有した財産の価額二億一五四七万一五〇〇円(不動産が一億四八四五万円、株式関係分が六一七三万八三一二円、預貯金が五二八万三一八八円)に慶次に対する贈与不動産の価額一八七四万円と原告に対する贈与金二〇〇〇万円を加算した二億五四二一万一五〇〇円からコウの債務四万五四〇〇円を控除した二億五四一六万六一〇〇円となる。

三  侵害された遺留分の範囲

以上の事実によれば、原告が侵害された遺留分の範囲は、二億五四一六万六一〇〇円の六分の一に当たる四二三六万一〇一六円から原告の受けた生前贈与二〇〇〇万円を控除した二二三六万一〇一六円となる。

四  遺留分減殺の意思表示

原告が、被告に対し、昭和六二年七月三〇日被告に到達した内容証明郵便で遺留分減殺の意思表示をしたことは当事者間に争いがないので、前記三で認定の遺留分侵害額の限度で本件遺贈は減殺されることになる。

五  減殺の対象及び減殺方法並びに減殺額

原告の本件遺留分減殺によって減殺されるのは、コウが被告に対してした本件遺贈であるので、以下、各物件ごとにその方法及び額を検討する。

1  本件不動産について

(1)  本件各不動産の価額及び原告の侵害された遺留分は前記認定のとおりであるから、原告が右減殺によって返還を受けるべき本件不動産の各持分割合は、別紙目録(本判決に添付のもの)記載の持分のとおりとなる。

(2)  価額弁償の抗弁について

原告が、平成三年一月三〇日の本件口頭弁論期日において、民法一〇四一条に基づき、減殺を受ける限度で遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をしたことは本件記録により明らかである。

ところで、遺留分権利者から減殺の請求を受けた受遺者が民法一〇四一条により返還の義務を免れるためには、受遺者において遺留分権利者に対し価額の弁償を現実に履行するか又は価額の弁償のための弁済の提供をしなければならず、単に価額の弁償をすべき旨の意思表示をしただけでは足りないと解するのが相当というべきところ(最高裁判所昭和五四年七月一〇日判決・民集三三巻五号五六二頁参照)、被告が平成三年五月一七日、原告に対し、原判決が認定した本件不動産の原告の共有持分価額等として合計三〇一三万九一一七円を右価額の弁償として支払う旨通知をするとともに、その支払方法を指定するよう求めたことは当事者間に争いがないが、被告が右金員をいつでも支払うことができるよう準備していたことを認めるに足りる証拠がないので、価額弁償のための現実の提供をしたものということはできない。そうすると、被告としては、現時点では本件不動産の返還義務(共有持分移転登記義務)を免れているものということではない。しかし、右義務の履行がなされるまではなお、遺留分義務者は価額の弁償を現実に履行し又は価額の弁償のための弁済の提供をして右義務を免れることができるので、右返還義務は弁償の履行又は提供によって解除条件的に条件づけられているものというべきである。

そこで、その額について検討するに、価額弁償は目的物の現物返還に代わるものとしてこれと等価であるべきであるから、価額弁償算定の前提となるべき目的物の価額算定の基準時は、口頭弁論終結時と解するのが相当というべきところ(最高裁判所昭和五一年八月三〇日判決・民集三〇巻七号七六八頁参照)、鑑定の結果(平成五年一二月二日付鑑定評価書)によれば、同年一一月一七日時点における第一目録記載1ないし6の不動産の価額は合計二億一四九五万円であることが認められるので、右価額をもって本件口頭弁論終結時の右不動産の価額と推認することができる。また、鑑定の結果(平成四年八月二〇日付鑑定評価書)によれば、同目録記載7ないし10の不動産の平成四年七月二一日時点の価額は合計四〇六万円であることが認められるところ、相続開始時点の同不動産の前記の価額四一五万円と比べてその変動の程度は僅少であり、口頭弁論終結時においても価額の変動は殆どないものと推認されるので、平成四年七月二一日時点の価額四〇六万円をもって右不動産の本件口頭弁論終結時の価額と推認するのが相当である。

そうすると、本件不動産の価額弁償の額は、右の合計二億一九〇一万円の、二億一五四七万一五〇〇分の二二三六万一〇一六に当たる二二七二万八二三一円となる。

2  本件株式について

コウの相続開始時に近畿日本鉄道八六八株、日本郵船一〇〇株、立石電機一五〇株、ヒロセ電機二一〇株、山一証券六〇株、新日本証券一〇〇株、椿本チェイン五〇〇株、小西六写真工業八〇〇〇株、川崎重工業一〇万株、住友金属一万株が存在していたことは前記認定のとおりであるところ、このうち近畿日本鉄道、日本郵船、立石電機、ヒロセ電機、山一証券、新日本証券の各株式については前記のとおり株券が発行されていないものであり、甲第一三号証の一二、乙第六号証と弁論の全趣旨によれば、その他の株式は、被告がこれを別紙第二目録(二)11ないし15の売却欄記載の各年月日に売却代金欄記載の各代金で売却したことが認められるので、被告としては現にその株券を占有していないものであって、これらの株券の引渡請求権は履行不能により消滅しているものといわなければならず、その限りにおいて、原告の右株券引渡請求は失当といわなければならない。

しかし、原告は、右株券引渡の強制執行が不能となった場合のいわゆる代償請求としてその引渡に代わる損害賠償金をも請求しているところ、右請求は、株券の引渡の履行が不能であることを前提とする填補賠償を予備的に求める申立てをも含むものと解するのが相当である。そこで、その損害の額について検討することとなるが、履行不能による填補賠償である以上、その額は履行不能の時、すなわち株式の売却時であり、その額は、売却代金の額と同額というべきである。

そうすると、被告が減殺により返還を受けるべき本件株式に関する価額は、コウの相続開始前にすでに売却されていた株式の売却代金合計三〇一二万四五五二円と相続開始後に売却された右株式の売却代金合計三七〇五万〇九六九円との合計六七一七万五五二一円の二億一五四七万一五〇〇分の二二三六万一〇一六に当たる六九七万一二八三円となる。

3  本件預貯金について

コウの相続開始時に合計五二八万三一八八円の預貯金が存在していたことは前記二の1の(3)で認定したとおりであるから、原告が右預貯金につき本件減殺請求により返還を受けるべき金額は、右金額の二億一五四七万一五〇〇分の二二三六万一〇一六に当たる五四万八二七四円とこれに対する昭和六二年七月三一日(遺留分減殺の意思表示が被告に到達した日の翌日)から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金となる。」

三 そうすると、一審原告の本訴請求は、予備的請求について右限度で正当として認容すべきであるが、主位的請求及びその余の予備的請求は失当として棄却すべきである。

よって、一審被告の控訴に基づき、原判決を右のとおり変更するとともに、一審被告が本件不動産の一審原告の共有持分価額を支払ったときはその所有権移転登記手続義務を免れることを明らかにし、一審原告の控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条を適用し、なお、仮執行宣言は相当でないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。

(別紙)

目録

1 大阪府羽曳野市恵我之荘一丁目二一五番九

宅地  三三三・九八平方メートル

持分  六五五〇万分の六七九万七四〇二

2 同所二一五番一四

宅地  一六八・四九平方メートル

持分  二六八〇万分の二七八万一二二七

3 同所二一五番地一四

木造瓦葺平屋建居宅 八六・三四平方メートル

持分  三三〇万分の三四万二四六四

4 同所二三七番四

宅地 二三九・六六平方メートル

持分  二〇三〇万分の二一〇万六六七五

5 同所一六九番一〇

宅地 三四一・八一平方メートル

持分 二六五〇万分の二七五万〇〇九四

6 同所一六九番地一〇

木造瓦葺二階建居宅

一階 七二・〇六平方メートル

二階 二四・七九平方メートル

持分 一九〇万分の一九万七一七六

7 和歌山県橋本市矢倉脇字奥根古四四八番一四九

山林 九四二平方メートル

持分 四一五万分の四三万〇六七五

8 同所四四八番一五〇

山林 九四二平方メートル

持分 四一五万分の四三万〇六七五

9 同所四四八番一五一

山林 九四二平方メートル

持分 四一五万分の四三万〇六七五

10 同所四四八番一五二

山林 九四二平方メートル

持分 四一五万分の四三万〇六七五

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