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大阪高等裁判所 平成6年(ネ)2695号 判決 1995年11月08日

兵庫県川西市久代二丁目四番一三号

控訴人

金菊仙

右訴訟代理人弁護士

宮崎定邦

古殿宣敬

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

被控訴人

右代表者法務大臣

宮澤弘

右指定代理人検事

草野功一

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は控訴人に対し、一〇〇万円及びこれに対する昭和五九年五月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

4  仮執行宣言

二  被控訴人

1  主文に同じ

2  予備的に担保を条件とする仮執行免脱宣言

第二事案の概要

原判決の「第二 事案の概要」記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決二枚目裏九行目及び一一行目の「差押許可状」をそれぞれ「本件許可状」と改める。

第三証拠

原審での本件記録中の各証拠目録記載を引用する。

第四判断

当裁判所も、控訴人の本件請求は理由がないと判断するものであるが、その理由は、次に付加、訂正するほか、原判決の「第三 争点に対する判断」記載のとおりであるから、これを引用する。

なお、控訴人は、当審において、本件処分が手続的にも実質的にも違法である旨、いろいろ主張するので本件全証拠を子細に検討審理したが、いずれもこれを認めることはできない。

一  原判決五枚目裏八行目の「サンエイセンターの」から九行目の「示したうえ、」を「サンエイセンターのマネージャー(店長)太田次生に対して身分証明書を示したところ、同人は社長も妻の控訴人も来ていないと言ったので、太田に」と改める。

二  同六枚目裏五行目から八行目までを次のとおり改める。

「小山は、尼崎市長洲本通三丁目七番地の崔種楽宅で臨検捜索をしている査察官と電話連絡を取ったところ、崔種楽がサンエイセンターに午後一時ころに行く、金庫の鍵を持参し自ら金庫を開ける予定でいる旨の連絡が入ったので、同人の到着まで待機することにした。小山は、前記太田や崔昌植の言動に前記のとおりの査察官の連絡を合わせ考えて、サンエイセンターの実質上の経営者は崔種楽であり、控訴人は名義上の経営者に過ぎないと判断した。」

三  同一〇枚目表五行目の「そして調査」から一一行目までを次のとおり改める。

「そして臨検、捜索、差押等の処分を受ける者が、強制調査の現場に不在のときは、国犯法六条一項所定の立会人に呈示することを要する。立会人は、同法六条一項によれば、当該場所の所有主、借主、管理者、事務員又は成年に達した同居の親族、雇人、隣佑はにければならないが、右立会人が不在であり、又は立会を拒否した場合は、同条二項により、その他の警察官又は市町村吏員を立会わせることで足りる。」

四  同一四枚目裏六行目の「本件強制調査は、」から七行目の「認められ、」までを「控訴人は訴外会社にかかる犯則事件の参考人であり、サンエイセンターは本件嫌疑事実に関連性を有するものと認められ、」と改める。

五  同一七枚目裏二行目の次に行を変えて、次項に加える。

「(四) また、控訴人は、第三者の所有物であり、被疑事実と関連のない物を差押さえていることが違法であるとも主張するが、その場合に、右差押により控訴人が損害を被る根拠が明らかでなく、採用の限りでない。」

第五結論

以上の次第で、控訴人の本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、民訴法八九条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 野田殷稔 裁判官 熊谷絢子 裁判官 小野洋一)

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