大判例

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大阪高等裁判所 平成6年(行コ)35号 判決

事実及び理由

第三 当裁判所の判断

一  本案前の争点について

本件訴えはいずれも適法である。その理由は、原判決の「第三 争点に対する判断」欄一項記載のとおりであるから、これを引用する。

二  本件寄附が負担付きであったか否かについて

当裁判所も、当審における控訴人らの主張及び取り調べた証拠を考慮に入れても、なお、本件寄附については、寄附のなされた当時、被控訴人会社代表者と被控訴人町長との間で、これを郁慈会に対する補助金として使用するようその用途及び目的が合意されており、そのような合意の趣旨や寄附がなされるに至った経緯等に照らすと、右合意の解釈として、本件寄附のうち少なくとも三億六〇〇〇万円については、これが郁慈会に対する補助金として使用されなかったときはこれを被控訴人会社に返還すべきものであった、すなわち、そのような負担が寄附受入の当時から付いていたものと判断する。

その理由は、原判決一〇枚目表四行目冒頭から一三枚目表六行目末尾までの記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、同一三枚目表五行目の「無効であったが」を「寄附そのものが無効であったとも解されるが」と改める。)。

三  控訴人らの新たな主張について

1  株式会社が、不動産の売却によって得た利益を地方公共団体に対して寄附、かつ右寄附に際しこれを特定の社会福祉法人に対する補助金として支出するように負担を付することによって、右利益に対する法人税の負担ないしは不動産譲渡所得に対する課税を免れつつ、これを実質的に右社会福祉法人に寄附する目的を遂げたとしても、個々の事案においてそのような行為の効力を税法上どのように評価するべきかはともかく、かかる行為がそれ自体直ちに公序良俗に反する違法な脱税行為にあたるとすることは出来ない。したがって、仮に本件において被控訴人町長が、被控訴人会社の右租税負担回避の意図を知って本件寄附に関する合意をしたとしても、その合意が直ちに公序良俗に反して無効であるとはいえず、受け入れた寄附金が不法原因給付となるわけでもない。また、右合意が町に対して拘束力を持たないわけでもない。

したがって、この点に関する控訴人らの主張は、理由がない。

2  また、町が三億六〇〇〇万円を一旦は郁慈会に対して正式に補助金として支出したことによって、本件寄附の目的及び条件が達成され負担を免れたといえるか否かは、結局は、右負担自体の解釈に帰することである。ところで、原判決摘示の当事者間に争いがない事実等に〔証拠略〕を総合すると、本件寄附はもともと実質的には郁慈会に対する寄附を目的にしていたこと、郁慈会は平成元年五月二九日一旦町から補助金の支出を受けたが、その後これについて一部の議員などから調査を受け「疑惑」が取り沙汰されだしたことなどに嫌気がさしたためか、受領後わずか四か月後の同年一〇月九日には三億六〇〇〇万円全額を町に返還してきたこと、右経緯に照らすと右返還は郁慈会にとっても町にとっても不本意なものであったと推認されること、右返還によって被控訴人会社の寄附の目的は結局実現できないこととなり、被控訴人会社は町にその返還を要求してきたことなどが認められ、これらの事実を総合すると、前記のように一旦は本件寄附金が補助金として支出されたとしても、その後まもなく右のような経緯でこれが返還された以上、前記寄附の際の条件が達成されたとはいえないものと解するほかはない。

したがって、この点に関する控訴人らの主張も理由がない。

第四 結論

よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。

(裁判長裁判官 中川敏男 裁判官 小田耕治 松本信弘)

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