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大阪高等裁判所 平成9年(行コ)26号 判決 1998年2月20日

兵庫県宝塚市逆瀬川二丁目九番二一号

控訴人

山本慶子

右同所

控訴人

山本善治

兵庫県西宮市一里山町二〇番八号

控訴人

加藤ヱイ子

右三名訴訟代理人弁護士

中嶋俊作

林信一

中川晴夫

松本史郎

奥田純司

杉田誠

富士川敦巳

三ツ石雅史

近藤貞明

蒲谷博昭

兵庫県西宮市江上町三番三五号

被控訴人

西宮税務署長 黒崎光

右指定代理人

河合裕行

西浦康文

稲沢伸哉

小谷宏行

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一申立て

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人らの昭和六三年一二月二九日相続開始に係る相続税について、平成二年一二月一七日付けで控訴人山本慶子及び同山本善治に対してした更正処分のうち、課税価格金六三七七万九〇〇〇円、相続税額金二四〇〇万二九〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、過少申告加算税額金二六万九四〇〇円を超える部分をいずれも取り消す。

3  被控訴人が控訴人らの昭和六三年一二月二九日相続開始に係る相続税について、平成二年一二月一七日付けで控訴人加藤ヱイ子に対してした更正処分のうち、課税価格金四八二四万五〇〇〇円、相続税額金一八一五万六八〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、過少申告加算税額金二四万〇六〇〇円を超える部分をいずれも取り消す。

4  被控訴人が控訴人らの平成元年一一月九日相続開始に係る相続税について、平成二年一二月一七日付けで控訴人山本慶子及び同加藤ヱイ子に対してした更正処分(ただし、被控訴人の平成六年九月二二日付け更正後のもの)のうち、課税価格金一億四一五五万五〇〇〇円、相続税額金六二六三万八五〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし、被控訴人の平成六年九月二二日付け更正後のもの)をいずれも取り消す。

5  被控訴人が控訴人らの平成元年一一月九日相続開始に係る相続税について、平成二年一二月一七日付けで控訴人山本善治に対してした更正処分のうち、課税価格金一億八二八一万五〇〇〇円、相続税額金八〇八九万六二〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、過少申告加算税額金一八二万二一〇〇円を超える部分をいずれも取り消す。

6  訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二当事者の主張

原判決の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三証拠

原審及び当審記録中の各証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四当裁判所の判断

当裁判所も、控訴人らの本訴請求はいずれも理由がなく、これを棄却すべきものであると判断するが、その理由は、次のとおり加除・訂正するほか、原判決「第三 争点に対する判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一三枚目表初行の「昭和六三年一二月二八日」から同五行目の「入金された」までを「昭和六三年一二月二七日に本件厚木株が六五五万一一七五円で購入され、翌二八日に鹿島建設株(政清の所有であることは当事者間に争いがない。)が一八〇六万二〇五〇円で、本件住友株が九三〇万四七八〇円で、鹿島建設株の端株が一六万四六六四円でそれぞれ売却され、同六四年一月六日に鹿島建設株の売却代金一八〇六万二〇五〇円の一部を本件厚木株の購入代金に充て、その残額である一一五一万〇八七五円を本件口座に入金するとともに、本件住友株の売却代金九三〇万四七八〇円及び鹿島建設株の端株の売却代金一六万四六六四円を同じく本件口座に入金する処理をし、右入金処理をした後の残高二〇九八万〇三一九円が同日本件口座から出金されている」と改め、同六行目の末尾に「控訴人らは、本件厚木株の購入代金には、控訴人山本慶子(以下「控訴人慶子」という。)が政清から贈与された本件住友株の売却代金のみが充てられたのであるから、控訴人慶子の所有であると主張するが、右認定事実に照らせば、本件住友株の売却代金のみが本件厚木株の購入代金に充てられたということはできない。」を加える。

二  同一三枚目裏一〇行目の末尾に「なお、控訴人らは、右贈与の目的は将来のアパートの建替えに備えるためであり、控訴人慶子が、右アパートの跡地に収益物件(賃貸マンション)を建築していることは、右贈与の事実を裏付けるものであると主張するが、右マンションが建築されたのは右贈与がなされたという時期から十数年も経過した平成八年一二月一〇日である上、その所有名義も株式会社ズイケイであることが認められ(甲六六)、右建築時期及び所有名義に照らすと、右マンションの建築が右贈与を裏付けるものとは到底認め得ない。」を、同一四枚目表三行目の「極めて」の前に「、控訴人らの主張する贈与額の多さ及び贈与の目的に照らし、」を、同一〇行目の末尾に「なお、控訴人らは、平成七年四月一〇日付け準備書面に、控訴人慶子が贈与を受けた鹿島建設株の株数を二〇〇〇株と記載したのは誤記であって、控訴人慶子が当初の主張を変えたことはないと主張するが、同人は本人尋問において、本件審査請求では政清から譲り受けた鹿島建設株は二〇〇〇株であると主張し、本件訴訟においても、最初は二〇〇〇株だと思っていたが、後に間違いに気付いた旨供述していることからすると、右準備書面の記載が誤記であったとしても、控訴人慶子の主張に変遷があったということに変りはない。」を加え、同裏四行目の「考える」を「認める」と改める。

三  同一五枚目表二行目から三行目にかけての「占有している」を「占有していた」と、同六行目の「しかし、」から同末行の「ないところ」までを「なるほど、控訴人慶子は、ことみ所有の株の預り証はことみに渡して、自己所有の株の預り証とを判然と区別しており、本件厚木株についても購入後その預り証を自ら保管していたと述べるが(控訴人慶子本人)」と、同裏三行目の「占有している」を「占有していた」とそれぞれ改め、同裏三行目の「本件厚木株の株券」の次に「ないしはその預り証」を加える。

四  同一七枚目表初行から二行目にかけての「税務調査の結果、右預金は政清個人の預金とされたこと、」を削り、同一七枚目裏六行目から七行目にかけての「本件住友株及び鹿島建設株の売却代金未収金」を「本件住友株又は鹿島建設株の売却代金」と改める。

五  同一九枚目表七行目の「原告らにおいて」から同九行目の「「山本琴美」であること」までを「ことみ自身も、預金や債権の売買に際して「山本琴美」名義を使用することがあった(乙九、控訴人慶子本人)こと」と、同二〇枚目表一〇行目の「到底考えられない」を「考えられないし、右供述が右改正後の非課税限度と符合しているのも不自然というべきである」と、同二一枚目表二行目から三行目にかけての「煩を厭わず」を「煩を伴う」とそれぞれ改め、同二二枚目表五行目から同六行目にかけての「二八三万四四一五円」の次に「と同額の金員が」を加え、同六行目から七行目の「クラリオン株五〇〇〇株の購入資金」を「クラリオン株の買受代金と武田薬品株の売却代金の差額」と、同二三枚目裏初行の「認定したように」を「認定、説示したところによれば」とそれぞれ改め、同三行目の「口座である」の次に「と認めるのが相当である」を加え、同二四枚目裏九行目の「考える」を「認める」と改める。

第五結語

以上の次第で、控訴人らの本訴請求は、理由がないから棄却されるべきであり、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき同法六七条一項、六一条、六五条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 笠井昇 裁判官 永田眞里 裁判官 岡原剛)

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