大阪高等裁判所 昭和22年(上)68号 判決 1948年3月06日
上告人 被告人 西尾恒三郎
辯護人 遠藤常壽 外三名
檢察官 米野操關與
主文
本件上告はこれを棄却する。
理由
辯護人遠藤常壽、日沖憲郎、伏見禮次郎、山上孫次郎の上告論旨は末尾添付の遠藤常壽名義の上告趣意書、同上告趣意書補充書、日沖憲郎名義の上告趣意書、伏見禮次郎、山上孫次郎共同名義の上告趣意書記載のとおりであつて、これに對し當裁判所は次のように判斷する。
辯護人遠藤常壽上告趣意書第三點について
昭和十八年十一月二日農商省告示第六號は、廣く、内地産玄米の最高販賣價格を指定したものであつて、所論のように政府が生産者から買受ける場合と消費者が食糧營團から買受ける場合とに限り一般人が一般人から買受ける場合について特に適用を除外するという趣旨ではない。このことは、同告示附記五の記載の趣旨からも推認し得るところである。だから、原判決がその第三事實に對して右告示を適用したのは正當であつて、これを擬律錯誤の違法があると主張する論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)
以上説明のごとく、本件上告論旨はいづれもその理由がないから、刑事訴訟法等四百四十六條によつて、主文のとおり判決をする
(裁判長判事 荻野益三郎 判事 大野美稲 判事 熊野啓五郎)
辯護人遠藤常壽上告趣意書
第三點原判決ハ前記第三事實ノ法條適用ニ付キ昭和十八年十一月二日農商省告示第六號ヲ摘示シテ居リマスガ同告示ハ生産者ヨリ政府ガ買受クル場合及ビ食糧營團ヨリ消費者ガ買受ケル場合ノ價格ノ指定デアツテ一般人ガ一般人ヨリ買受ケル場合ノ指定價格デハアリマセヌ從ツテ一般人タル被告人ガ一般人タル佐伯久米藏ヨリ買受クル場合ニ適用セラルベキ價格デハナイノデアリマス此ノ點ニ於テ原判決ハ擬律錯誤ノ違法アルモノト信ジマス(その他の上告論旨は省略する。)