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大阪高等裁判所 昭和24年(ネ)454号 判決

控訴代理人は主文同旨の判決を求め、被控訴代理人は本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述は被控訴代理人において自作農創設特別措置法(以下自創法と称する)第一五条第一項第二号によつて買収すべき宅地は同法第三条により買収する農地に附随し主としてその農地の用に供せられているものであることを要し、而もその所有者が右農地の所有者と同一である場合に限られるものと解すべきところ、本件宅地は右の要件を欠いているので、これに対する買収計画は違法であると述べ、控訴代理人において、自創法第一五条第一項第二号によつて買収すべき宅地は同法第三条により買収する農地につき自作農となるべき者がその農業経営上必要なものであれば足り、右農地に附随し主としてその農地の用に供せられていることを要しない。

本件宅地の買収申請人中鈴木俊三、杉原淳三、竹中勇の三名は買収申請の当時いずれも被控訴人から本件宅地の一部を賃借し、田村米二は当時被控訴人から使用貸借によつて本件宅地の一部を使用し、右四名にて本件宅地全部を分割して使用していたもので、それぞれその借地上に住家を所有し、その外農器具の置場、乾燥場貯蔵場、堆肥積場等を設置し専ら農業に従事してきたもので、本件宅地から各自創法による解放農地までの距離は二〇間ないし八町余に過ぎず、本件宅地は各申請人等の農業経営上必要不可欠のものであり、これに対する本件買収計画は適法であつて被控訴人主張の如き違法はないと述べた外原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。(立証省略)

三、理  由

本件宅地はもと被控訴人の養父岩田常右衛門の所有であつたが、昭和二〇年六月九日その死亡により被控訴人が家督相続によつて承継取得したものであること、控訴人が田村米二外三名の買収申請にもとづき昭和二三年八月二四日自創法第一五条第一項第二号により右宅地につき買収計画を立てたので被控訴人がこれに対し異議並に訴願の申立を経て所定の期間内に本訴に及んだことは当事者間に争がない。

そこで被控訴人は先ず、控訴人は本件と同一申請人の買収申請にもとづき昭和二三年五月二四日自創法第一五条第一項第二号により本件宅地につき買収計画を立て、被控訴人の異議申立によつてこれを取消し、その決定は既に確定しているに拘らず、再度本件宅地について同一申請人の買収申請にもとづいて立てられた買収計画は失当であると主張するが、控訴人が利害関係人の異議申立を容れて一旦立てた買収計画を取り消したからといつて該取消決定によつて本件宅地について将来再び同一申請人の買収申請にもとづいて買収計画の樹立を禁止するというが如き効力が生ずるものでないから、再度同一申請人から買収申請があつて法定の要件を具備する以上、買収計画を立てえないものではないので、控訴人主張の如き事実があつたとしても本件買収計画を違法ならしめるものではない。

次に被控訴人は本件買収申請人中田村米二は本件宅地について何等の権利を有するものでなく、而も本件宅地は自創法第一五条第一項第二号所定の適格を欠きこれに対する本件買収計画は違法であると主張するのでこの点について審究するに、本件買収申請人中鈴木俊三、杉原淳三、竹中勇が本件宅地につき賃借権を有することは当事者間に争がなく、原審並びに当審における証人森直三郎、田村米二の各証言によれば、本件買収申請人である田村米二は被控訴人の先代から本件宅地の中一四九坪余につき爾余の宅地を管理する代償として使用を許され、昭和九年頃同人の承諾を得て同地上に住家を建設居住してきたもので、本件買収計画樹立の当時右一四九坪余の宅地につき使用貸借による権利を有していたことが認められるので、田村米二は買収申請人としての適格を欠くものではない。更に進んで自創法第一五条第一項第二号によつて買収すべき宅地の適格について考えるに、それは同法第三条によつて買収する農地につき自作農となるべき者がその農地の経営上必要であれば足り、被控訴人主張の如く宅地が当該農地に附随し主としてその農地の用に供せられていることも、宅地の所有者と農地の所有者が同一であることも必要でないと解するを相当とし、成立に争のない乙第一ないし第四号証に原審における証人森直三郎(第一、第二回)、岡秀行、田村米二の各証言、検証の結果及び当審における証人森直三郎、田村米二の各証言、検証の結果を綜合すれば、本件買収申請人である杉原淳三は本件宅地のうち一七〇坪余、田村米二は一四九坪余、竹中勇は九六坪余、鈴木俊三は六四坪余を占拠し、いずれもその地上に建設された住家(住家の敷地は杉原約四八坪、田村は約三八坪、竹中は約三五坪、鈴木は約二三坪)に起居し、右住家から二〇間ないし八町余の距離にある自創法によつて解放された農地の耕作に従事してきたものでありいずれも右各宅地には住家の外納屋、牛小屋を設けその他の空地は農作物の乾燥場として使用しており、杉原はその一部を菜園に使用し、竹中はその片隅に草花を植えておること、右買収申請人四名はいずれも専業農家であることを認むるに十分である。右認定事実によれば本件宅地は買収申請人等において各解放農地の経営上必要なものということができるので、本件宅地は自創法第一五条第一項第二号所定の買収適格を具備するといわなければならない。

そうだとすれば、本件買収計画には被控訴人主張の如き違法の点がないので、これが取消を求める被控訴人の請求は失当として棄却すべく、これに反する原判決は取消の外なく、訴訟費用の負担につき民訴第九六条、第八九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 吉村正道 林平八郎 大田外一)

(目録省略)

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