大阪高等裁判所 昭和25年(う)2158号 判決
論旨は被告人の本件行為は防犯委員として警察の犯罪捜査に協力したものであつて正当の業務行為であるから罪とならないと主張する。刑法第三十五条にいわゆる正当の業務による行為とは法令上又は国民一般の慣習上適当な業務の執行と認められる行為と云うのであるが所論防犯委員なるものは現行制度上犯罪の防止について警察に協力するは格別犯罪の捜査について、何等特別の職務権限を有するものではなく一般市民と同様告発権(刑訴二三九条一項)現行犯人逮捕権(刑訴二一三条)を有するに止まる。それゆえにたとえ所論のように司法警察員から相被告人枝常の拳銃所持について「確証をつかんでくれ」と頼まれたとしても、自らその所持の事実を確認した上これを申告するは格別、相被告人の妻女から拳銃の売却方をたのまれたのを幸いに自宅に持ち帰り子守籠の中に隠し、二三日後この事実を電話で申告したに止まり、そのまゝ約二ケ月間保管していたと云う(原審公判廷における被告人の供述)のであるから、その行為は法令上及び慣例上許された範囲を逸脱したものと云うべく、到底正当な業務により為したる所為とは認められないのである。論旨は理由がない。