大判例

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大阪高等裁判所 昭和25年(う)3475号 判決

弁護人は本件起訴状は一日の販売個数を集計したのみで何回に販売したか明示していない。販売行為はその都度一罪が成立するのであるから之を明示しない起訴状は不適法であると主張するけれども、原判決挙示の証拠によれば被告人両名はパン製造の委託加工業を営むものであるが傍らパンの小売を業とする商人であつて原判示期間その店舖において連日数回に通行人に現金でパンを販売したものであることが認められる。而して商人は商業帳簿を備え日日の取引等を明瞭に記載すべきものとされているのであるが、小売については現金売と掛売に分ち日日の売上金額を記載することができることに定められている(商法第三十二条)。従つてたとえ被告人等がいわゆる闇取引をしたため之を右帳簿に記載しなかつたにしても本件現金取引は一日の総額を以て一個の販売行為と解するのが営業の実態に合うのである。本件パンの販売はいずれも現金取引であり一日中何回にも亘つて同一店舗で行われたものであるから同一機会を利用して通行人に販売せられたものでありパンの闇取引という全く同様の動作であるから単一犯意の発現たる一連の動作と認めるのが相当である。所論のように販売毎に一罪が成立するとなれば個々の販売行為が別個独立の犯意に出でたものであることを認むるに足る証拠がなければならない。しかるに記録を精査してもかかる犯意を認むるに足る証拠がない。然らば右のような事実関係の下では一日の総販売個数を一個の闇取引と認定し一罪として取扱うのが相当である。所論は独自の見解にすぎない。

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