大阪高等裁判所 昭和25年(ナ)1号 判決
原告 石田清助
被告 兵庫県選挙管理委員会
一、主 文
原告の訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
二、請求の趣旨
原告訴訟代理人は、被告が昭和二十四年十二月八日なした兵庫縣多紀郡八上村農地委員会の委員選挙における、当選の効力に関する訴願についての裁決中、原告に対する部分は、これを取消す。原告が昭和二十四年八月十八日執行せられた、兵庫縣多紀郡八上村農地委員会の委員選挙に当選したことを確認する。訴訟費用は被告の負担とする。との判決を求めた。
三、事 実
原告は昭和二十四年八月十八日に執行された兵庫縣多紀郡八上村農地委員会の委員選挙において当選したものであるが、被告は右選挙において当選しなかつた候補者志儀源治の訴願に基いて、右八上村選挙管理委員会が昭和二十四年九月二日なした同村農地委員会委員選挙の当選の効力に関する異議申立に対する決定の内、当選人たる原告石田清助に関する部分を取り消し、かつ、昭和二十四年八月十八日執行された右農地委員会委員選挙における、農地調整法第十五條の二第三項第二号の区分に属する当選人石田清助の当選を無効とする旨の裁決をなし、右裁決は昭和二十四年十二月九日告示され、同月十四日原告に通知された。しかし被告のなした右裁決は不服であるから、これが取消を求めるため本訴に及んだと陳述した。
被告訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、答弁として、原告は昭和二十四年八月十八日執行された兵庫縣多紀郡八上村農地委員会委員選挙において、一たん当選者と決定されたが、右当選の効力については、農地委員会委員の候補者であり、かつ、選挙人であつた訴外志儀源治から適法に異議ならびに訴願申立があつたので、被告において審査の結果、右選挙に際して適法な手続によつて第二号階層の選挙人名簿に登載されたものでない清水順之助、清水ゆきゑ、清水小いとの三名が選挙人として投票した事実が判明した。しこうして、右選挙における原告の得票数は四三票、次点者の尾川了伯の得票数は四〇票であつて、右三名の投じた無効の投票が候補者の内何びとに投票せられたかは調査することが許されず、從つて、かりに、原告の得票数から前記清水順之助外二名の無効投票を差引いてみると、原告の得票数は三九票となり、次点者との間にいずれが当選者であるかを決することができなくなる。
よつて、被告は原告の当選を無効と裁決したのであつて、被告の裁決には何ら違法はなく、原告の本訴請求は理由がないと陳述した。
四、理 由
昭和二十四年八月十八日に執行された兵庫縣多紀郡八上村農地委員会委員の選挙において、原告が一たん当選者と決定されたが、右当選の効力に関し農地委員会委員の候補者であり、かつ、選挙人であつた訴外志儀源治から異議ならびに訴願の申立があり、被告が審査の結果、同村選挙管理委員会がした異議申立を棄却する決定の内、当選人たる原告石田清助に関する部分を取り消し、かつ、原告の右当選を無効とする旨の裁決をしたことは、当事者間に爭のないところである。
しこうして原告は被告のなした右裁決の内原告に関する部分は違法であるからこれが取消を求めかつ原告が右選挙において当選したことの確認を求める旨主張するけれども、右訴願に対して被告のなした裁決について、いかなる手続又は判断が違法であるかについては、本件訴状に記載なく、その後の口頭弁論においても、これを釈明しないので、原告主張の違法の理由について判断するに由なく、結局、右裁決の取消およびこれを前提とする当選確認を求める、本訴は請求原因が不明であつて、不適法として却下を免れない。
よつて、民事訴訟法第八十九條を適用して主文のとおり判決をした。
(裁判官 大嶋京一郎 林平八郎 大田外一)