大阪高等裁判所 昭和25年(ネ)518号 判決
控訴代理人は「原判決を取り消す、一、被控訴人四名との間に、(一)被控訴人布施市が被控人大阪府知事および被控訴人建設大臣に対してなした(イ)昭和二十三年十二月二十六日附布施市公会堂建築許可申請、(ロ)昭和二十四年十二月十二日附公会堂設計変更願の無効なることを確認する。(二)被控訴人建設大臣が右申請にもとづいてたした昭和二十四年二月十七日付建許第三〇三二号布施市公会堂建築許可および被控訴人大阪府知事が右申請にもとづいてなした(イ)昭和二十五年一月二十一日附第二七七号建築認可、(ロ)昭和二十五年二月四日附第三九四二七号設計変更認可の無効なることを確認する。二、被控訴人布施市および被控訴人布施市長との間に、(一)布施市会が(イ)昭和二十三年十二月以前公会堂建築の議決をしたことのないこと。(ロ)昭和二十四年十二月以前公会堂設計変更の議決をしたことのないこと。(ハ)昭和二十四年十一月十八日公会堂使用条例案を議決したことのないこと。(ニ)昭和二十四年十一月十八日公会堂増改築費起債の件を議決したことのないことを確認する。(二)布施市会の(イ)昭和二十四年四月二十八日第六号起債の件、(ロ)昭和二十四年四月二十八日第七号建物賃貸借契約締結の件、(ハ)昭和二十四年四月二十八日第八号随意契約の件、(ニ)昭和二十五年一月三〇日和解契約締結の件なる各議決の無効なることを確認する。訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人等の負担とする」旨の判決を求め被控訴代理人等は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の陳述は、控訴代理人において控訴人等はいずれも布施市会議員の資格において布施市に関する公法上の権利関係について同市のために本訴請求を為すものであると述べた外、原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。
三、理 由
先ず控訴人等の本訴請求の適否について判断する。
控訴人等は先ず被控訴人四名に対し被控訴人布施市が布施市公会堂の建築について、被控訴人建設大臣に対してなした建築許可の申請及び被控訴人大阪府知事に対してなした建築認可の申請と、これに対する被控訴人建設大臣の建築許可及び被控訴人大阪府知事の建築認可が、それぞれ無効なることの確認を求めるので考えて見るのに、右建設大臣に対する申請及びこれに対する許可が臨時建築制限規則による建築許可の申請及びその許可であり、右大阪府知事に対する申請及びこれに対する認可が市街地建築物法による建築認可の申請及びその許可であることは当事者間に争がない。そして右建築の許可及び認可の申請は被控訴人布施市の為した公法的行為であつて、建設大臣及び大阪府知事においてそれぞれこの申請を受理してこれを審査し、被控訴人布施市に対しこれが許可又は認可をなすか否かを決すべき義務を生ぜしむるに過ぎない。従つてたとえ右申請行為が控訴人等主張の如き理由によつて無効だとしても、右申請行為自体は直接控訴人等の利益に関係がないので、控訴人等にその無効なることの確認を求める法律上の利益がない。また被控訴人建設大臣の右建築許可処分及び被控訴人大阪府知事の右建築認可処分はいずれも被控訴人布施市に対する行政処分であつて、たとえ右行政処分が控訴人等主張の如き理由によつて無効だとしても右行政処分自体は直接控訴人等の利益に関係がなく、直接控訴人等の利益に関係あることは控訴人等において主張しないので、これまた控訴人等にその無効なることの確認を求める法律上の利益がない。
控訴人等は次に被控訴人布施市及び被控訴人布施市長に対し布施市会の控訴人等主張の如き議決の存在しないことの確認及び控訴人等の主張の如き議決の無効なることの確認を求めるので考えて見るのに控訴人等の主張の如き布施市会の議決はいずれも布施市の内部的意思決定たるに止まり、かくの如きは一般に行政争訟の目的とするに適しないばかりでなく、その議決自体は直接控訴人等の利益に関係がないので、控訴人等にこれが不存在または無効なることの確認を求める法律上の利益がない。
従つて控訴人等の本訴請求はいづれも不適法として却下しなければならない。
なお控訴人等は布施市会議員としての資格において一般布施市民の利益のため本訴請求を為すものであるというが、控訴人等の利益に直接関係のない公法上の法律関係についてその取消、不存在ないし無効の確認を求め得るためには特に法律上かかる訴訟の提起を認めた場合に限られるものと解すべきところ、控訴人がその主張の如き資格において本訴の如き請求を為すことを認めた法規がないので、本訴は依然不適法として却下を免れないものといわなければならない。
そうだとすれば控訴人等の本訴を不適法として却下した原判決はまことに相当であつて、本件控訴はその理由がないのでこれを棄却し、控訴費用の負担について民訴第九五条、第八九条、第九三条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判官 大嶋京一郎 林平八郎 大田外一)