大判例

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大阪高等裁判所 昭和26年(う)1581号 判決

弁護人は、北岡警部補は本件事故発生当日二時間後に被告人の取調べをなし、強制的に自白をなさしめた疑がある。すなわち同警部補は午後九時頃から翌日午前四時頃まで被告人に寸刻の睡眠時間を与えずして徹夜尋問を継続した。これは被告人の精神状態をもうろうならしめ、強制誘導尋問したことが明らかであるから同警部補作成の供述調書は刑事訴訟法第三百十九条憲法第三十八条に違反し証拠とすることができないと主張する。

しかし、記録によれば本件事故の発生した時刻は昭和二四年十二月八日午後七時三十五分頃で、北岡警部補は同夜八時から九時迄の間同被告人立会の下に現場の実況見分をしているのである。本件のような業務上過失致死事件について、捜査官がまず現場の実況を見分した後に被疑者の取調べをするのは至当の措置と言わねばならない。

従つて右実況見分終了後自庁に帰つた上同夜十時頃から北岡警部補が被疑者の取調べをしたところで少しも非難せられる理由はない。殊に本件は貴重な人間の生命が失われたという重大な事件であるので事件直後の同夜十時頃取調べを開始し夜半の二時頃迄継続して取調をしたのであるから捜査官としてなすべきことをなしたにすぎない。しかも本件においては被告人は同警部補に対して任意に自供しており、右自供が所論のような違法な取調べに基くという疑は少しもない。従つて原審の採証に法令違背はない。

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