大判例

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大阪高等裁判所 昭和26年(ネ)580号 判決

控訴代理人は原判決を取り消す。被控訴人等の請求を棄却する。訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人等の負担とする旨の判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述は控訴代理人において自作農創設特別措置法(以下自創法と称する)が急速且つ広汎に自作農を創設することを目的としていることは同法第一条その他の規定に照して明白であるが、それと同時に他の公益上の考慮からこれに制限を加えていることも亦同法第五条等の規定に徴して明瞭である。そして同法第五条第四号は買収前の農地について都市計画上必要があればこれを買収から除外すべきことを規定し、自創法が強く要請している広汎の要請に対し制限を加えているのであるが、たまたま買収済の農地についてその必要が生じた場合なおこれを急速に売り渡したとしても自創法の目的とする安定自作農の創設を期待しえないので、かような農地を売り渡すことは自創法の予定しないところであつて、このような農地についてまで急速に売り渡すことを同法が要請しているものとは考えられない。そこで同法第一六条第一項が命令の定めるところにより売り渡すと規定しているのは、急速に売り渡す方向に向つてその細則を規定することを命令に委任しているばかりでなく、都市計画事業との関係で土地の利用の調整を計るため必要があればその売渡を一時保留するが如き規定を定めることをも命令に委任しているものと解すべきで、自創法施行規則第七条の二の三はこの委任にもとずいて定められたもので、自創法に違反するものではない。なお控訴人の主張中自創法施行規則第七条の二の三はもと連合国最高司令部農地改革担当機関の要求にもとずいて制定されたもので超憲法的性質を有するものであるという主張はこれを撤回すると述べた外、原判決事実摘示(但し原判決添附の第一目録中九川善吉とあるは九川長吉、山口重治とあるは山口裕康の誤記と認める)と同一であるから、ここにこれを引用する。(証拠省略)

三、理  由

当裁判所は原判決に説示されたと同一の理由によつて、自創法施行規則第七条の二の三は自創法第一六条第一項の委任の範囲を越えた規則であつて自創法に違反する無効のものであり、この規定にもとずいてなされた本件売渡保留処分も亦無効であると認定する。控訴人が当審において主張する法律上の見解について考えて見るに、自創法第五条第四号は買収前の農地について都市計画上必要があればこれを買収から除外することを規定し、買収済の農地についてその必要が生じた場合にも都市計画事業との関係で土地の利用の調整を計る必要のあることは控訴人所論のとおりであるが、自創法にはその場合に対処すべき規定を欠くもので、これは立法上の不備であつてかかる立法上の不備を除去するには自創法を改正するか新な法律の制定にまつべきもので、単なる施行規則によつて除去することを是認しようとする控訴人の主張は採用することができない。従つて被控訴人の請求を認容した原判決は相当で、本件控訴はその理由がないので、民訴第三八四条、第九五条、第八九条によつて主文のとおり判決する。

(裁判官 吉村正道 林平八郎 大田外一)

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