大阪高等裁判所 昭和28年(う)941号 判決
被告人 宮城フサ
弁護人の控訴趣意第一点について。
所論は被告人が本件児童であるH(趣旨書に萩原芳子とあるのは誤記と認める)を雇入れた際同人及びその同伴者江戸野義春は右Hの年齢は二十一歳であると申詐つれたのであり、同女は早熟大柄の女であつて、その体格や肉付の点において当時二十一歳であつた被告人の長女のそれよりも発達していたので、被告人は右H等の言を信用したものであつて、同女の年齢を知らなかつたことについて過失なかりしものであると主張するけれども、児童福祉法第四条は年齢満十八に歳たない者を一律に児童と定め精神並びに肉付の発育状態の如何を問わない趣旨であるから妙齢の婦女を接客婦として使用する場合使用者に対し綿密にその生年月日を調査する義務が課せられているのは当然であつて、従つて本件において所論のような事由があつても、それだけでは年齢について十分な調査をしたと云うことができず、更に例えば戸籍謄本を提出せしめ、又は米穀通帳又は転出証明書等を調査する等の方法によつて年齢を確認しなかつた以上、児童の年齢を知らなかつたことについて過失なかりしものとして罪責を免れることを得ないのである。そして原判決挙示の証拠を綜合すればその摘示事実を首肯するに足り記録を精査しても誤認があることを発見し難い。それ故に原判決には所論のような事実の誤認も法の解釈適用を誤つた違法も存することなく、論旨は理由がない。