大阪高等裁判所 昭和29年(う)355号 判決
弁護人は、原判決は審判の公開規定に違反している。すなわち京都地方裁判所第十二号法廷は二百名近くを収容できるのに本件については七十数名の傍聴を許したにすぎない。且つ所謂盗聴器と称する秘密聴音機を設備して同法廷における審判の状況を裁判所又は検察庁の一部職員に盗聴できる仕掛けをしている。右は公開の規定に違反していると主張する。しかし、記録によれば原審公判が公開の法廷で行われ原判決が公開法廷で適法に言渡されたことは明らかである。たとえ、原審が所論の通り傍聴人の数を適当の数に制限した事実があつたにしても、憲法第七七条第一項に基ずく裁判所傍聴規則によれば裁判長は法廷における秩序を維特する必要があると認めるときは傍聴人の数を制限することが許されているのであり、記録によれば本件公判において原審裁判長が法廷の秩序維持のために右の処置に出たのは相当であると考えられる。また、公開法廷における状況を法廷外における裁判所又は検察庁の一部職員に知らせる手段が講ぜられたとしても、それが法廷の警備のために必要であると認められる以上、必ずしも不当な措置とはいえない。もつとも、かかる措置を採る必要のある場合には公然とその設備をすればよいのであつて、訴訟関係人に判らないような方法ですることは望ましくない。しかし、かかる設備をすることの当不当は裁判の公開の問題とは別個の事柄である。それは司法行政上の問題であつて訴訟法上の問題でない。