大判例

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大阪高等裁判所 昭和30年(う)1391号 判決

論旨は被告人は司法書士として原審相被告人狩野一雄の委嘱に応じ、同人の言を真実と信じその言うまゝに登記手続に必要な書類を作成し法務局に提出したに過ぎないから犯意がなく、狩野一雄と共謀したことにならないといい事実誤認を主張するのである。ところで、司法書士は他人の嘱託を受けてその者が裁判所、検察庁又は法務局に提出する書類を代つて作成することを業とする者で(司法書士法第一条)正当な事由がある場合でなければ嘱託を拒むことはできない(同法第六条)のであるがその作成すべき書類が偽造にあたることを知つておれば、之に応ずべきものではなく、嘱託を拒む正当な事由あるものと解する。之を知りながら敢て嘱託に応じ、偽造文書を作成し提出すれば、委嘱者と共に文書偽造、同行使罪の共同正犯に問われるのは理の当然である。それゆえに、本件の成否は一に被告人が偽造文書作成の情を知つていたか否かの点に係るのであるが、原判決挙示の証拠によると被告人は小西秀夫から偽造にあたることを告げられその情を知つていたのに拘らず狩野一雄の嘱託に応じ自己所有の有合印を使用して他人名義の文書を作成したことが明白であるから、被告人に共同正犯としての責任あることは多言を要しないのである。その他記録にあらわれた証拠を検討しても原判決には事実誤認の疑は存しない。論旨は理由がない。

(裁判長判事 松本圭三 判事 山崎薫 判事 辻彦一)

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