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大阪高等裁判所 昭和30年(ラ)124号 決定 1955年12月27日

被告人 阪本徳太郎

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

本件抗告の理由は、要するに本件競売の目的物は、債務者阪本良一の所有にあらずして、抗告人の所有に属するものであるから、民事訴訟法第五百四十九条に従い右競売に基く配当手続の停止を求むというにある。

案ずるに、民事訴訟法第五百四十九条第四項による裁判は、もともと同法第五百条の裁判と同じく、本案の裁判あるまでの一時的の性質を有するにすぎず、しかも昭和二十九年法律第一二七号民事訴訟法等改正法律によつて同法第五百条が改正せられ、「不服ノ理由トシテ主張シタル事情ガ法律上理由アリト見エ且事実上ノ点ニ付疎明アリタルトキ」に限つて裁判所は強制執行の停止等を命ずることができることとなつたのである。

そうすると右の二つの場合の裁判は、その性質を等しくするのみならず、その裁判をするについて判断すべき範囲も同様となつたわけである。これらの点から考えると同法第五百条第三項の「其裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス」なる規定は、同法第五百四十九条第四項の場合にも類推して適用すべきものというべきである。

そして、右にいわゆるその裁判とは、裁判所が実質上の審査をなした上、申立を認容し又はこれを排斥したものを意味すると解すべきである。(大正六年十一月二十一日大審院決定参照)本件において原裁判所は、証拠を検討した上本件競売の目的物は阪本良一の所有であつて抗告人の所有に属せずと判断し抗告人の申立を理由なしとしてこれを却下したものなることは原決定に照して明白であるから、これに対しては抗告をなすことはできないものといわざるを得ない。

よつて本件抗告を不適法として却下すべく、抗告費用について同法第九十五条、第八十九条に従い、主文のとおり決定する。

(裁判官 大野美稲 熊野啓五郎 喜多勝)

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