大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和32年(う)1274号 判決

よつて記録を調査するに、原判決は被告人の前科関係として昭和二十八年四月二十二日大阪高等裁判所において麻薬取締法違反罪により懲役十月に処せられ、当時右刑の執行を受け終つたもので、右事実は前科調書及び当公廷における供述に徴し明らかであると判示し、昭和三十二年八月七日の本件犯行が累犯にあたる前科の事実を認定しながら、その法令の適用の項には累犯加重の規定である刑法第五十六条第五十七条を脱漏していること、まさに所論のとおりである。

従つて原判決は累犯加重に関する右両法条を適用すべきであつたのにかかわらずこれを適用しなかつた違法があるというほかはないので、論旨にいわゆる理由不備若しくは理由のくいちがいというよりは、むしろ法令の適用の誤というべきである。しこうして右誤は当然刑の量定の範囲を高めることになるので判決に影響を及ぼすこと明らかである。ところでこのような主張は被告人にとつて利するところがないので、被告人のための上訴理由としては許されないのであるが、職権調査によつて、この点において原判決を破棄するのを相当と考える。

(裁判長裁判官 山本武 裁判官 三木良雄 裁判官 坪倉一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!