大阪高等裁判所 昭和32年(う)721号 判決
原判決は被告人の業務上過失致死の行為に対し刑法第二一一条を、無謀操縦の行為に対し道路交通取締法第二八条第一号を各適用し、両者を刑法第五四条第一項後段の牽連犯の関係にあるとしていることは所論のとおりである。
右業務上過失致死とは最高速度の制限を遵守して事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠り、軽卒にも無事通過できるものと判断し、制限速度を超過して自動車を運転し、よつて本件事故を起し、被害者磯田賢蔵を死に致したことであること前段説示のとおりであつて、この超過速度運転の行為が同時に道路交通取締法第七条第二項第五号の無謀操縦に当り同法第二八条第一号に触れるのであつて、刑法第五四条第一項前段の一個の行為にして数個の罪名に触れる場合に該当することは疑いない。しかるに原判決が同条第一項後段に当るとしたのは法令の解釈適用を誤つたものであるが、そのいずれによるとするも、結果においては同一に帰着するから、この誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえないので、これをもつて原判決を破棄する理由とするに足りない。論旨は理由がない。
(裁判長判事 万歳規矩楼 判事 武田清好 判事 小川武夫)