大阪高等裁判所 昭和33年(う)1423号 判決
判決理由〔抄録〕
運転者は自動車の操縦にあたり運転上の全責任を負担するものであることはその職掌上当然の事理であって、助手を同乗させた場合でも助手は特段の事情のない限り単に運転を補佐するに過ぎないものであるから、状況により右責任の程度につき斟酌することができることがあっても、右責任自体を助手に転嫁することは許されない。されば本件において助手席前面の窓硝子のクリーナは助手のために設けられたものであるとし、従ってこれが破損しその見透しが不充分であっても、そのことは助手自身の不注意に関する問題であって運転者の注視義務には影響がなく、運転者は自己前面のクリーナが完全に可動する以上これによって前方の見透しの可能な範囲について通常の注意義務を尽しておれば充分である旨の所論は、運転者たるものの右個有の責任に目を蔽う謬論であって到底採用できない。