大阪高等裁判所 昭和33年(ラ)315号 決定 1958年12月27日
抗告人 麻田忠男
主文
原決定を取り消す。
抗告人(被告・反訴原告)と徳義幸子(原告・反訴被告)との間の神戸地方裁判所篠山支部昭和三二年(ワ)第八号物件引渡、慰謝料請求本訴・同年(ワ)第九号慰謝料請求反訴事件の確定判決に基き抗告人が徳義幸子に対し償還すべき費用額は、別紙計算書(ただし、(29)から(49)までを除く。)に基き四、三〇五円及び本件訴訟費用額確定申立費用四三五円と確定する。
理由
抗告人は、原決定を取り消し相当な裁判を求める旨申し立て、その抗告理由は、原決定には抗告人の負担すべき費用として計算すべからざる仮処分費用その他をこれに算入しており不当である。というのである。
そこで考えてみるに、思うに仮処分命令の費用は本案の訴訟費用に属しないと解するのが相当である。けだし、仮処分命令手続は本案訴訟の附随手続ではなく、独立の手続であるからである。しかも、記録によると、原裁判所は主文第二項記載の訴訟事件(以下本件訴訟という。)を本案とする原裁判所昭和三二年(ヨ)第三号動産仮処分命令申請事件の仮処分決定においてその申請費用の負担に関する裁判を脱漏していることが明らかであるから、右仮処分命令申請事件の費用額確定申立の要件を欠くものというほかはない。してみると前示徳義幸子の確定決定を申し立てた訴訟費用額のうち前示仮処分命令申請事件に関するもの、すなわち別紙計算書中(29)から(45)までの費用額の確定申立は理由がないといわねばならない。
本件訴訟費用のうち別紙計算書中(1) から(28)までが、徳義幸子が本件訴訟においてその権利を伸張するため必要なものであることは記録によつて肯認することができる。すると前示(1) から(28)まで合計五、三〇五円五〇銭は抗告人の負,担とすべきものであるところ、原裁判所の本件訴訟判決主文第三項は本件訴訟費用中一、〇〇〇円は徳義幸子の負担とする旨定めているから、双方の負担すべき費用はその対当額につき相殺されたものとみなされる(民訴法一〇二条)ので、結局、抗告人の徳義幸子に償還すべき訴訟費用額は、前示五、三〇五円五〇銭から前示一、〇〇〇円を差し引いた残額四、三〇五円(円位未満切捨)と確定すべきである。本件訴訟費用額確定申立費用が、別紙計算書(46)から(49)まで合計四三五円であることは、記録によつて明らかである。それゆえ抗告人の徳義幸子に償還すべき費用額は別紙計算書(ただし、(29)から(49)までを除く。)に基き四、三〇五円及び本件訴訟費用額確定申立費用四三五円と確定する。
そうすると、右と同趣旨でない原決定は不当であつて本件抗告は理由があるから民訴法四一四条三八六条を適用して主文のとおり決定する。
(裁判官 熊野啓五郎 岡野幸之助 山内敏彦)
(別紙)計算書
(1) 金二千五十円 訴状貼用印紙
(2) 金二百二十五円 訴状書記料(正副二通分)
(3) 金九十円 戸籍謄本手数料(二通分)
(4) 金四十五円 同右写書記料(二通分)
(5) 金十五円 家事調停取下証明願書記料
(6) 金五円 委任状貼用印紙
(7) 金七円五十銭 同右書記料
(8) 金二百三十円 訴状提出日当
(9) 金九十五円 訴状送達料
(10) 金九十円 請求趣旨変更申請書貼用印紙
(11) 金二百十円 同右書記料(正副二通分)
(12) 金二十円 答弁書貼用印紙
(13) 金十五円 同右書記料
(14) 金二百三十円 弁論期日原告出頭日当(三二年五月二二日)
(15) 金百円 証拠申請書貼用印紙
(16) 金百五円 同右書記料(正副二通分)
(17) 金二百三十円 弁論期日原告出頭日当(三二年七月三日)
(18) 金二百三十円 〃(三二年九月四日)
(19) 金二百三十円 〃(三二年一〇月二三日)
(20) 金二百三十円 〃(三二年一一月二七日)
(21) 金二百三十円 〃(三二年一二月一一日)
(22) 金三十円 甲第一号証書記料(正副二通分)
(23) 金二百三十円 弁論期日原告出頭日当(三三年二月一二日)
(24) 金二百三十円 弁論期日原告本人出頭日当(三三年二月一二日)
(25) 金二百三十円 弁論期日原告出頭日当(三三年三月二六日)
(26) 金二百三十円 〃(三三年五月一四日)
(27) 金二百三十円 〃(三三年六月二五日)
(28) 金七円五十銭 原告本人期日請書々記料
(29) 金百円 仮処分命令申請書貼用印紙
(30) 金百二十円 同右書記料
(31) 金九十円 戸籍簿謄本手数料
(32) 金五円 委任状貼用印紙
(33) 金七円五十銭 同右書記料
(34) 金七円五十銭 納付書書記料
(35) 金九十五円 仮処分決定正本送達料
(36) 金十円 権利行使催告の申立書貼用印紙
(37) 金十五円 同右書記料
(38) 金十円 担保取消決定の申立書貼用印紙
(39) 金十五円 同右書記料
(40) 金九十五円 催告書送達料
(41) 金七円五十銭 担保取消決定正本請書々記料
(42) 金九十五円 同右送達料
(43) 金十五円 供託書還付申請書々記料
(44) 金十円 抗告なき証明願貼用印紙
(45) 金三十円 同右書記料
(46) 金二十円 訴訟費用額確定決定申立書貼用印紙
(47) 金九十円 同右書記料
(48) 金二百三十円 同右提出日当
(49) 金九十五円 訴訟費用額確定決定正本送達料