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大阪高等裁判所 昭和34年(ラ)233号 決定 1960年8月22日

抗告人 大西納

主文

原審判を取消す。

抗告人を処罰しない。

手続の費用は、原審、当審を通じ国庫の負担とする。

理由

本件抗告の理由は別紙「即時抗告の申立」と題する書面記載のとおりである。

よつて案ずるに、抗告人は抗告人と大西外喜子間の大阪家庭裁判所昭和三四年(家イ)第八三二号離婚調停事件について、関係人として、昭和三四年七月二二日午後一時の調停期日に出頭すべき旨の呼出を受けながら、正当の事由なく、右期日に出頭しなかつたものとして、過料三〇〇〇円に処せられたものであるが、当審における抗告人本人の審尋の結果、及び山崎ハルエの「過料審判に対する証明書及びその経過」と題する書面を照合すると、抗告人は大和機工株式会社の社長兼主任技師であつて、右調停期日は福永繊維株式会社に、抗告人の発明した機械を納入すべき日に当り、抗告人は自らこれが試運転に立会う必要があつたのであるが、当日午前八時に来るべきトラックがおくれたため、正午頃から、試運転をしなければならないこととなり、到底午後一時の調停期日に出頭することができなくなつたので、使用人をしてその旨担当の調停委員に電話で通告せしめ、その了解を得たので、出頭しなかつたものなることを認めることができる。

以上のような事情の下において、抗告人が前示調停期日に出頭しなかつたのは、正当の事由があるというべきである。

よつて手続の費用について非訴事件手続法第二〇七条に従い主文のとおり決定する。

(裁判長判事 大野美稲 判事 岩口守夫 判事 藤原啓一郎)

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