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大阪高等裁判所 昭和35年(く)44号 決定 1960年7月12日

少年 G(昭一五、八、二六生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の要旨は、少年の保護者(両親)は富山県に居住し、なお叔父及び伯母が滋賀県に居住しているのであるが、本件の審判には出席せず保護者欠席のまま処分を受けたのであつて、本件の事件は軽微であり、又被害者も好意を示しているので少年としては中等少年院送致の決定は不服であるからこれを取り消されたい、というのである。

本件記録ならびに添付の少年調査記録によると、本件非行事実は、少年は住居氏名等不詳の者と共謀して昭和三十五年五月三日午後六時三十分頃大阪市浪速区日本橋筋○丁目○○番地電気器具商○野方第二階商品倉庫入口に置いてあつた同人所有の螢光ランプ三十本入二箱(時価一万八千円相当)を窃取したものであつて、窃盗事犯として必ずしも軽微なものではなく被害者において宥恕しているとは認められないのであり、更に少年は昭和三十二年十二月十六日傷害保護事件につき大阪家庭裁判所において審判不開始に、昭和三十五年五月二日傷害、窃盗保護事件につき同裁判所において保護観察の処分を受け、同日少年の叔父滋賀県甲賀郡○○町○○町○○○○番地居住の○岡○雄に引取られその帰途大阪市内において叔父と共にアルサロ、飲食店等に赴き同夜はアルサロの女給二人と共に旅館に宿泊し、翌三日は叔父と別れた後少年は前夜のアルサロの女給と再び遊びたく思つていた折柄前記住居、氏名等不詳の男に出会い本件非行を重ねたものであつて、前記保護処分を受けながら何等自覚反省することなく直ちに本件非行を重ねた点、少年の資質、環境保護者である少年の実母M子の生活状況、滋賀県にいる少年の叔父、伯母も少年を引き取つて監護する意思のないことその他記録に現われた諸般の事情を考慮すると、少年を保護者或いは近親者の監督下において改善することは到底望みがないと考えられるのであつて、原裁判所が少年に対し中等少年院送致の決定をしたことは正当であり、その処分が著しく不当であるとは認められない。なお、保護者である少年の実母M子は本件審判期日に適式の呼出を受けながら出席しなかつたのであるから本件事審判手続には何等の瑕疵も認められない。本件抗告は理由がない。

よつて、少年法第三十三条第一項、少年審判規則第五十条に従い主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 奥戸新三 裁判官 塩田宇三郎 裁判官 青木英五郎)

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