大判例

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大阪高等裁判所 昭和38年(う)2127号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕弁護人上田稔の控訴趣意第一点について。

所論は、原判決は、所轄労基準監督署長に届出ていない就業規則であつても、その内容が法令または労働協約に違反しないかぎり無効ではない旨判示している。しかしながら、元来就業規則は、その制定及び届出が罰則をもつて強制されているものであり、そのうちの人事条項、ことに停年制の問題に関しては、それが労働者の死活に連る極めて重大な問題であるだけに、そのような重大な項を含む就業規則が、原判決のいうように、監督官署に対する届出もなくしてなお効力があるものとはとうてい考えられない。のみならず、原判決は、形式的に当該停年制に該当するかぎり、その該当者を解雇しても不当労働行為となる余地はないかの如く判示しているが、それまでに一貫して停年超過者が退職していたという特別な事情もなく、しかもその就業規則自体も未届の間に、組合結成の中心人物であつた山田聖堂を解雇したことは、明らかに組合活動をしたことを理由に解雇したものというべきで、これを消極に解した原判決は、余りにも形式論理にすぎ不当であるというのである。

しかしながら、所轄労働基準監督署長に届出られていない会社就業規則であつても、その内容が法令または労働協約に違反するものでないかぎり、当然に無効なものとはいいえないこと、及び所論の山田聖堂の解雇が、右の就業規則の停年前の条項に該当するものである以上、その退職を求めることもやむをえないところであり、その解雇は、必ずしも同人が組合活動の中心人物であることを理由とするものでないこと、いずれも原判決に説示するとおりである。そして所論の停年制の条項をも含めて、右の就業規則が法令または労働協約に違反するものとは認められないことも、本件後間もなく所轄労働基準監督署長宛に届出られた会社就業規則に、同条項を変更ないし削除された形跡がうかがわれないこと等に照し、自ら明らかなところであるから、所論の山田聖堂の停年を理由とする解雇が、不当労働行為となるものでないことも当然としなければならない。所論は、右の停年制の条項が労働者の死活に連なる極めて重大な事項であるので、それまでに一貫して停年超過者が退職していたという特別な事情でもないかぎり、たとえ形式的には当該条項に該当しても、その該当者を解雇することは正当でないかのごとくに論ずるが、いかに右条項が所論のように労働者の死活に連る極めて重大な条項であつても、その条項が就業規則に明定され、該就業規則が無効なものでないかぎり、同条項の該当者を退職せしめることはむしろ当然の事理に属し(停年を超過してもなお且つ、その超過者を解雇しないというような一貫した労働慣行でもあれば格別であるが)、何ら所論のように不当な結論と称することはできない。論旨は理由がない。(山田近之助・藤原啓一郎・岡本健)

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