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大阪高等裁判所 昭和38年(ネ)1195号 判決 1965年5月11日

大阪市北区菜村町官有地九七号

控訴人

青木産業株式会社

(旧商号、株式会社青木箒子

刷子ロープ製造所)

右代表取締役

青木謙三

右訴訟代理人弁護士

吉川毅

阿形旨通

同市東区大手前之町一丁目一番地

被控訴人

大阪国税局長

塩崎潤

右指定代理人検事

川村俊雄

法務事務官

戸上昌利

大蔵事務官

福永三郎

斉藤義勝

右当事者間の審査決定取消請求控訴事件について、当裁判所はつぎのように判決する。

主文

本件控訴はこれを棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決中、控訴人敗訴の部分を取消す。被控訴人が、控訴人の昭和二八年五月二七日から昭和二九年五月二六日までの事業年度の法人税について、昭和三一年四月二〇日付でなした審査決定を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述、提出援用の証拠ならびに認否の関係は、被控訴代理人において、本件事業年度における控訴人の営業経費は、控訴人主張の総経費一、六三〇、八九九円八〇銭から、営業外経費たる、支払利息五四、九六一円、雑損失一六、二五八円五〇銭、退職給料六〇、〇〇〇円の合計一三一、二一九円五〇銭を控除した一、四九九、六八〇円三〇銭が正確であり、さきに主張した一、四三三、一三〇円は計算違いであるから訂正すると述べ

控訴代理人において、当審証人合田千代子、同東米吉の各証言、当審における控訴会社代表者青木謙三の本人尋問の結果を援用したほか、原判決の事実摘示と同一であるから、これを引用する。

理由

当裁判所の認定ならびに判断は、左記に付加するほかは、原判決の理由と同一(ただし、同判決理由四頁の営業利益率につき、控訴人の営業経費は一、四九九、六八〇円三〇銭が正確であり、従来被控訴人主張の一、四三三、一三〇円は計算誤りである旨説示する部分は(原判決二二枚目裏一一行目以下二三丁裏一二行目までの該当部分)、当審で被控訴人がその誤りを認め主張を訂正したから、これを除外することとする。)であるから、これを引用する。

(一)  当審証人合田千代子、同東米吉の各証言、当審における控訴会社代表者青木謙三本人の供述によつても、前記認定を覆し、控訴人備付の帳簿が正確で信頼に値いするものであつたとか、あるいは多少不備があつても他の資料を得て補正し、実額の調査が可能な状態にあつたものとは認められない。また被控訴人主張の推計方法が合理性を欠き、違法であると推断すべき事由も認め難い。

(二)  控訴人の如き、千数百種以上の商品を取扱い、すこぶる複雑多岐な業態にある場合にあつては、被控訴人主張の推計方法も、やむをえないところであり、違法でないというべきである。

そうであれば、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却すべきものとし、民訴法三八四条、九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長判事 金田宇佐夫 判事 日高敏夫 判事古崎慶長は転任につき署名捺印することができない。裁判長判事 金田宇佐夫)

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