大阪高等裁判所 昭和39年(う)1114号 判決 1964年11月16日
主文
原判決を破棄する。
被告人を禁錮一〇月に処する。
この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
原審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
<前略>
控訴趣意第二点量刑不当の主張について。
所論は本件事故は被害者の過失に基因することが大であるから被告人に対する原判決の量刑は不当苛酷であるというにある。よつて記録を精査検討するに、本件事故の結果被害者が死亡するに至つた事情および被告人の前科等を考慮すると、原判決の量刑は首肯できないこともないが、本件犯罪の性質その他諸般の事情を参酌すると被告人を刑の執行猶予期間中保護観察に付することは相当でないと思料される。この点に関する論旨は理由がある。
よつて刑事訴訟法三九七条三八一条により原判決を破棄し、同法四〇〇条但書によりつぎのとおり判決する。
原判決が確定した事実に原判決掲記の法条(刑法二五条の二の一項前段は除く)を適用し、主文二、三、四項のとおり判決する。(山田近之助 藤原啓一郎 石田登良夫)