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大阪高等裁判所 昭和40年(ラ)73号 決定 1965年9月21日

抗告人 中村武男(仮氏)

主文

原審判を取消す。

抗告人の名の「武男」を「靖士」と変更することを許可する。

理由

一、本件抗告の趣旨ならびに理由は別紙のとおりである。

二、当裁判所の判断

原審における抗告人に対する審尋の結果ならびに記録編綴の田辺郵便局の回答書を綜合すると、抗告人の居住地区たる田辺市湊には中村武雄、中村武男、中村竹雄が居住し、抗告人のところから最も遠い中村竹雄のところが三〇〇米位で、いずれも近所であるうえ、呼称は全く同一であるし、字劃も大部分が類似してまぎらわしく、そのため、往々電報、郵便物、運送品の誤配を生じ、社会生活上支障を来していることが認められる。右の如きは、近隣に同姓同名のものがある場合と同様、戸籍法一〇七条二項にいわゆる名の変更を許可すべき正当の事由に該当するものというべく、従つて、抗告理由は相当であり、原審判が右のほかさらに社会生活上著しい支障の存した特段の事由あることを必要とするものとして、抗告人の申立を却下したのは失当である。

よつて、原審判を取消し、抗告人の申立を認容することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長判事 金田宇佐夫 判事 日高敏夫 判事 中島一郎)

抗告理由<省略>

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