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大阪高等裁判所 昭和42年(ネ)1342号 判決 1970年4月30日

控訴人

(附帯被控訴人、以下控訴人という)

ナニワ観光事業株式会社

代理人

松隈忠

被控訴人

(附帯控訴人、以下被控訴人という)

社団法人日本音楽著作権協会

代理人

井上準一郎

外一名

主文

本件控訴を棄却する。

附帯控訴に基き、原判決主文第一項を次の通り変更する。控訴人は被控訴人に対し六五四万円及びこれに対する昭和四三年五月一五日以降右金員完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は、第一、二審とも控訴人の負担とする。

事実《省略》

理由

(当事者双方の業務)

被控訴人協会が「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」による許可を受けた我国唯一の著作権仲介団体であて、内外の音楽著作物につき各著作権者より著作権の信託的譲渡を受けてこれを管理し、右管理にかかる著作物の我国内に於ける使用者に対しその使用を許諾して各使用者から著作使用料を収取し、これを内外の著作権者に分配することを主たる業務とするものであること、並びに控訴会社が風俗営業に関する事業を営む会社であつて、昭和三八年一〇月一日以来大阪市南区笠屋町七番地の営業所に、バンドステージ、ピアノ、フロアー、客席及び楽団等の設備を設け「ゴールデンミカド」と称するキャバレーを経営していることは、当事者間に争いがなく、<証拠>を綜合すると、被控訴人協会は、現に管理著作物につきそれぞれの著作権者から著作権の信託的譲渡を受けて、これを管理しているものであることが認められ、他に右認定に反する証拠はない。

(被控訴人の管理著作物約定使用料の請求について)

<証拠>を綜合すると、次の事実が認められ、この認定を左右すべき証拠はない。即ち、

一、昭和三八年一〇月初頃、被控訴人協会関西営業所職員亀田哲男は、控評会社が前記の如く同月一日よりその営業を開始したことを新聞広告によつて知り、その営業の性質上同会社が管理著作物を使用するものと考えて、同月四日控訴会社を訪ね、当時控訴会社経営の実権を掌握していた常務取締役に面会して同人から控訴会社の営業の規模、管理著作物の使用状況等について説明を受け、控訴会社が管理著作物を使用していることを確認した上、「音楽と著作権」と題するパンフレットと共に「音楽著作物使用許諾契約申込書」用紙二通、「著作物使用料規程」一部を交付し、管理著作物を使用するには被控訴人協会の許諾及び所定の使用料の支払が必要であることを説明して、早急に右使用許諾契約締結の申込をするよう要求したところ、控訴会社は右要求に応じて同月二一日被控訴人協会関西営業所に右申込書二通を送付した。

二、同月二四日右亀田哲男が「契約書」用紙二通を持参して控訴会社を訪ねたところ、控訴会社に於ては、営業部長Sが右亀田に対し控訴会社が営業を開始したばかりであることを理由に、当分の間使用料を減額するよう申入れてその諒解を得て細目を決定した上、予めの指示を受けていた同会社経理部長Hが右契約書用紙二通に控訴会社代表者の記名及び印を押捺した。

三、亀田は右契約書用紙を一旦被控訴人協会関西営業所に持帰り、直ちに被控訴人協会側の調印をすませた上、内一通(甲第一号証)は協会に留め、他の一通を控訴会社に郵送したが、右契約書には、管理著作物の使用料、不履行の場合の措置及び契約の存続期間に関し

(イ)  管理著作物使用料は、演奏の有無回数に拘らず、月額五万円(但し一二月は六万円)とし、控訴会社はこれを毎月一〇日被控訴人協会の事務所に持参して支払う。但し昭和三八年一〇月から昭和三九年三月末日迄の使用料は特に月額四万円とする。

(ロ)  控訴会社が三ヶ月以上右使用料の支払をしないときは、控訴会社は被控訴人協会に対し、使用料の外に、違約金として月額使用料の倍額を支払う。

(ハ)  控訴会社が本契約に違反したときは被控訴人協会は催告をしないで直ちにこれを解除することができる。

(ニ)  契約期間は昭和三八年一〇月一日より昭和三九年九月三〇日までとする。但し、期間満了時に当事者のいずれかから特に異議を述べない限り、本契約と同一の内容を以て契約を更新したものとする。

という趣旨の記載がある。

右に認定した事実によれば、昭和三八年一〇月二四日被控訴人協会と控訴会社との間に、右契約書記載通りの内容の管理著作物使用許諾契約が成立したものと認めるべきである。

ところで、控訴会社は、右契約期間の満了する昭和三九年九月末か一〇月初頃被控訴人協会に対し、約定使用料を減額しなければ契約を更新しない旨主張して異議を述べ、その後に於ても再三同様の異議を繰返しているから、右契約は昭和三九年九月三〇日限り、遅くとも翌四〇年九月三〇日限り終了したと主張するのであるが、当審証人H、同O及び同Kの各証言中、控訴会社の右主張に添う部分はいづれも後記認定に照して容易に信用することができず、他に右主張事実を肯認するに足る証拠はない。却て、<証拠>を綜合すると

控訴会社の前記約定使用料の支払は常に一、二ヶ月遅れてなされており、前記契約期間内の満了する昭和三九年九月分を同年一一月一一日に支払つた後は、右使用料を全く支払わなくなつたので、その後被控訴人協会関西営業所職員は再三に亘つて控訴会社を訪ね、或いは電話でその支払方を請求したけれども、控訴会社に於ては役員が支出の決裁をしないことや手許不如意を口実に支払の猶予を求めるばかりで、格別使用料の減額を求めることはなく、昭和四一年六月一〇日付書面で被控訴人協会に分割払の認容方を求めた際にも、使用料の額そのものについては何等言及するところがなかつた。との事実が認められるのであつて、右事実によれば、前記契約はその(ニ)の条項により、昭和三九年一〇月一日、昭和四〇年一〇月一日及び昭和四一年一〇月一日、相次いで従前通りの内容で更新されたものとする外はない。

そして、記録によれば被控訴人協会が昭和四二年五月一日付本訴準備書面を以て前記(ハ)の約定に基き控訴会社の右使用料不払を理由として右契約を解除する旨の意思表示をなし、同準備書面が同月二日控訴会社の原審訴訟代理人麻植福雄に到達したことは明らかであつて、右契約は同日限り終了したものと認められるから、控訴会社に対し、昭和三九年一〇月一日以降右契約終了前である昭和四二年四月三〇日迄一ヶ月五万円(但し一二月は六万円)の割合による合計一五八万円の約定使用料の支払を求める被控訴人協会の請求は理由がある。

(被控訴人の約定違約金の請求について)

前述の通り被控訴人協会と控訴会社の間には、控訴会社に於て管理著作物の使用料を三ヶ月以上支払わないときは、当該使用料の外、その倍額の違約金の額が使用料の額に較べて不当に高額であるから右約定は公序良俗に反する無効のものであり、且つ右約定に基く権利の行使は信義則に違反するものであるから許容すべきでないと主張するので、この点について考えるに、<証拠>を綜合すると、次の事実が認められ、この認定を左右するに足る証拠はない。即ち

一、控訴会社の経営する前記キャバレーの営業日数は平均一ヶ月二五日、平均入場料は二〇〇円以上五〇〇円未満、客席数は約二八〇であつて、控訴会社は右サャバレーに開業以来二ツの楽団を常置して間断なく軽音楽を演奏させており、その中には少くとも一日六〇曲(但し演奏時間は一曲につき五分未満)の管理著作物が含まれている。

二、一方、被控訴人協会は「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」第三条第一項の規定に基き、昭和一五年二月一九日主務大臣の認可を受けて「著作物使用料規程」を定め、その内容はその後数次の変更を経たが、昭和三六年七月二五日の認可により変更され前記契約締結の際の基準とされた右規程によると、管理著作物の実演の内、軽音楽一曲一回の演奏による使用料は、収容人員五〇〇名未満、使用時間五分未満、平均入場料二〇〇円以上五〇〇円未満の場合は一曲につき四〇〇円と定められており、これをキャバレー、カフェー等の社交場に於て使用する場合は右使用料の五割の範囲内で使用状況及び演奏時間を斟酌してこれを決定することととされているところ、被控人協会に於てはその斟酌の方法として収容人員五〇〇名未満のものを更に一〇〇名単位で段階的に区分し各社交場の客席数に応じて減額することとしている。

三、右の基準を控訴会社の場合に、客席数二八〇を二五〇として控え目に適用すると、別紙計算表記載の通り一曲当り一〇〇円となるから、一日六〇曲の使用料は六、〇〇〇円、一ケ月平均二五日の使用料は一五万円となるけれども、被控訴人協会は、前記契約締結の際控訴会社が減額方を求めたことと控訴会社が管理著作物の継続的利用者であることを考慮し、特約によつてその三分の一である五万円(但し一二月は六万円)を一ヶ月の使用料と定める共に、控訴会社がこの減額された使用料すら三ヶ月以上も支払わないようなときは、被控訴人協会が右規程によつて取得することのできた額と約定使用料との差額一〇万円を控訴会社に負担させる意味で、月額使用料の倍額を違約金とする前記約定がなされたものである。

以上の事実からすれば、右違約金の約定の当否を考えるには、その額を決定する基準とされた前記「著作物使用料規程」の合理性ないし拘束力の有無が検討されなければならないところ、先ず、被控訴人協会の営む著作権仲介業は、「著作権ニ関スル法律」に基き主務大臣(昭和四三年法律第九九号による改正後は文化庁長官、以下同じ)の許可を受けなければ営むことができないものである(同法第二条)ばかりでなく、主務大臣に対する業務報告書及び会計報告書の提出を義務づけられ、主務大臣は業務報告、帳簿書類の提出及び業務執行方法の変更等を必要に応じて仲介業者に命ずることができ事務所等の臨検検査権を有し、更に事情によつては前記許可の取消や業務執行停止の措置すら採り得る(同法第六ないし第九条)のであつて、仲介業者は国の強力な監督下に置かれているのである。そして、同法第三条は、著作物使用料について、仲介業者に著作物使用料について、仲介業者に著作物使用料規程を定めて主務大臣の認可を受けることを義務づけ、主務大臣は、認可申請のあつた規程の要領を公告して判害関係人等に意見具申の機会を与えた後、著作権制度審議会の諮問を経た上でなければ右認可を与えることができないこととしているのであつて、右規定の趣旨は、これにより著作物使用料規程の内容が合理的且つ公正であることを保障するとともに、著作物の利用を簡易且つ円滑化し、以て著作物利用者を保護することにあると考えられる。そうだとすれば、かかる慎重な手続を経て認可された著作物使用料規程は、特にこれを不当とするような事情の認められない限り、公正且つ妥当な内容を有するものと推定すべきであるし、また、右規程は、前述のように強力な国の監督に服する業者がこれに準拠することを義務づけられている(同法第一二条第二号参照)こととの均衡上、当事者がこれによる意思を有するとまではいえないにしても、少くとも当事者がこれによらない意思を表示しない限り、これに準拠する意思で著作物使用契約を締結したものと観なければならない。本件に於ても、前認定の通り被控訴人協会が主務大臣の認可を受けて定めた前記「著作物使用料規程」が存するのであるから、特約のない限り、控訴会社の管理著作物使用料は右規定によつて算出するのが相当であるところ、前認定の通り、右規程によつて算出した控訴会社の使用料額は一ヶ月一五万円であるから、被控訴人協会は控訴会社に対し本来これと同額の使用料の支払を求め得たこととなるのであるが、それにも拘らず、被訴人協会が控訴会社との間にその管理著作物使用料を一ヶ月五万円(但し一二月は六万円)と約定したのは、管理著作物の継続的利用者である控訴会社に対する優遇措置であつて、前記違約金は、これによつて間接的に使用料の支払を強制すると共に、右優遇措置にすら甘んじない不誠実な管理著作物利用者に対する制裁の意味で定められたものというべきである。そして、右使用料の特約はその限りに於て前記規程の適用を排除するものではあるけれども、この特約のために右規程に準拠した使用料額がその合理性を失うものでないことは勿論であるから、控訴会社が三ヶ月以上前記約定使用料を支払わない場合は、右規程によつて算出した使用料額を標準として、当該約定使用料の外、その二倍の違約金を支払うこととした右違約金の約定は、一二月以外の月の分については、結局右規程によつて算出した本来の使用料額に復したに過ぎず、また毎年一二月の分がその他の月より二万円多額になるとしても、これを不当に高額であるということができないことは明らかであつて、右違約金の約定が公序良俗に違反するものとなし得ないことはいうまでもなく、更にかかる事態を招来した責任は前記優遇措置により三分の一は減額された使用料さえも支払わなかつた控訴会社にあるのであるから、被控訴人協会が右違約金請求権を行使することを以て信義則に違反するものであるということもできない。

してみれば、控訴会社に対し前記使用料債務不履行の期間中、一ヶ月一〇万円(但し一二月に限り一二万円)の割合により、合計三一万円の違約金の支払を求める被訴人協会の請求も亦理由があるものとしなければならない。

(被控訴人の損害賠償の請求について)

<証拠>を綜合すると、次の事実が認められ、この認定を左右するに足る証拠はない。

一、控訴会社の営業所である前記「ゴールデンミカド」はいわめるキャバレーであつて、その営業の性質上、単に来集する不特定多数の客に飲食物を提供するだけでなく、絶えず音楽を演奏し或いはショーを催して社交場としての雰囲気を維持する必要があるところから、控訴会社は右営業所に、約二八〇の客席の外、冒頭に判示した諸設備を設けて音楽の演奏歌唱及びダンス等ができるようにしており、前記契約解除の後昭和四三年四月三〇日に至る間も日曜祝日を除く毎日その営業を継続していたが、その営業及び音楽についての管理著作物使用の状況は右契約解除以前と全く異なるところがなかつた。

二、控訴会社が右営業所に営置している二ツの楽団は、いずれもピアノ以外の楽器及び楽譜を各楽団に於て所有し、控訴会社から演奏による収益は控訴会社に帰属し、楽団の報酬はほぼ定額であつて、その主宰者が控訴会社から一括支払を受けることになつており、また楽団は控訴会社に専属するものであつて右営業所の営業時間中に他へ出演することはなく、その演奏曲目も自から控訴会社の店舗ないし客層にふさわしいものが選ばれ、またショーについても予め控訴会社からこれを知らされ、ショー出演者と打合せて練習した上その伴奏に当るのであつて、その演奏曲目の大部分は管理著作物であつた。

三、右営業所に於ては殆ど連日ショーが催されていたが、これらのショーは、控訴会社が予め出演申込者からその内容の説明を受け、そのうちから控訴会社の営む社交場特有の雰囲気と客の好みに応じた出演者を選択して催すもので、もとより出演者が独自の立場で興行するわけではなく、またその内容はすべて音楽の伴奏を必要とするため管理著作物の使用を伴い、特に歌唱を主とするものにあつては管理著作物の利用が大部分を占めていた。

以上の事実によると、右楽団又はショー出演者の演奏歌唱は専ら控訴会社のために行われたものであつて、管理著作物の利用主体は控訴会社であり、同会社が営利のため管理著作物を興行の用に供していたものというべきである。そして、これが音楽著作権に包含される興行権の侵害に当ることは明らかであり、右侵害について控訴会社に故意または過失のあることは、叙上認定の事実に照し自からこれを認め得るところであるから、控訴会社は被控訴人協会に対する不法行為責任を免れ得ないものといわなければならない。

控訴会社は、右楽団及びショー出演者の演奏歌唱が控訴会社との間の請負契約に基いてなされていることを理由として、控訴会社と右楽団及びショー出演者との間の契約が請負契約であると否とを問わず、右に説示した通り、控訴会社が興行者であり、自己の営業の手段として管理著作物を使用せしめた以上、自ら不法行為者としての責任を負担すべきことは当然であるから、控訴会社の右主張は採ることができない。

してみれば、控訴会社は被控訴人協会に対し右著作権侵害により生じた損害を賠償する義務を負うべきところ、その損害額の算定については困難な問題があるけれども、少くとも被控訴人協会はその著作権行使につき通常受けるべき金銭の額、換言すれば客観的に相当な使用料額と同額の損害を受けるものと観るのが相当である。けだし、音楽著作権を侵害して興行する者があれば、本件の如く著作権者が自ら興行せず、専ら他の興行者に著作権を利用させて使用料のみを取得している場合でも、著作権者はその使用権即ち興行に基く市場利益を失うのであるから、そのため損害を受けるのは当然であつて、その損害額は、反証のない限り、著作権の使用を許諾したときに通常受ける相当な使用料額を下らないものと考えられ、このことは、法が他の無体財産権侵害による損害額について「実施許諾料或いは使用料相当の金銭を損害の額として賠償することができる」との規定(例えば、特許法第一〇二条第二項、商標法第三八条第二項等)を設けている趣旨に照しても、首肯し得るところであるからである。そして、控訴会社の営業及びその管理著作物の利用の状況が前記契約解除後もそれ以前と変りがないことは前認定の通りであるから、控訴会社の被控訴人協会に支払うべき、客観的に相当な使用料額は、前記契約存続中の場合につき説示したものと同様、前記「著作物使用料規程」によつて算出した金額であり、少くとも一日六、〇〇〇円を下らないものと認められ、前記契約解除の翌日である昭和四二年五月三日から昭和四三年四月三〇日までの間の控訴会社の営業日数が、一ヶ月平均二五日、合計三〇〇日であることはさきの認定によつて明らかであるから、右期間中の使用料を計算すれば合計一八〇万円となり、これを以て被控訴人協会が控訴会社の右著作権侵害によつて蒙つた損害であると認めるべきである。

控訴会社は、前記約定使用料が一ヶ月五万円であつたことを理由に右損害額中、的定使用料額を超える部分はいわゆる特別損害に属し、且つ双方にその予見可能性がなかつたから、これを本件著作権侵害に含まるせるべきではないと主張する。しかし、前記の通り右約定使用料は、利用者が被控人協会と継続的契約関係に立ち、しかも使用料支払につき誠実であることを前提として、特別に減額されたものであるから、これを以て前記客観的に相当な使用料とすることはできないから、この点に関する控訴会社の主張は採ることができない。

そうであれば、控訴会社が昭和四二年五月三日以降昭和四三年四月三〇日迄の間管理著作物を無断で利用し、その著作権を侵害したことによる損害の賠償として、控訴会社に対し一八〇万円の支払を求める被控人協会の請求も理由があるものとすべきである。

(結論)

以上の通りであつて、控訴会社に対し、昭和三九年一〇月一日以降昭和四一年六月末日までの間の約定使用料及び違約金を被控訴人協会に支払うべきことを命じた原判決は相当であり、これに対する控訴会社の本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、被控訴人協会が附帯控訴に拡張(但し遅延損害金の一部については減縮)した昭和四一年七月一日以降昭和四二年四月三〇日迄の間の約定使用料及び違約金、同年五月三日以降昭和四三年四月三〇日迄の間の著作権侵害による損害賠償金並びにこれらに対する被控訴人協会の昭和四三年五月一四日付準備書面が控訴会社に到達した日の翌日であること記録上明らかな同月一五日以降完済に至るまで年五分の民事法定利率による遅延損害金の控訴会社に対する請求は、すべて理由があるから、右附帯控訴に基き原判決主文第一項を主文掲記の通り変更し、主文の通り判決する。(金田宇佐夫 輪湖公寛 中川臣朗)

計算表

(1) 収容人員500名未満、平均入場料500円未満、使用時間1曲1回につき5分未満の場合に於ける軽音楽1曲の使用料 400円

(2) 社交場に於て使用るす場合の控除係数

0.5

(3) 客席数に応じて斟酌する係数250/500

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