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大阪高等裁判所 昭和43年(く)39号 決定 1968年9月14日

少年 T・O(昭二五・三・七生)

主文

原決定を取消す。

本件を京都家庭裁判所に差し戻す。

理由

本件抗告の趣意は少年作成の抗告申立書記載のとおりであつて、要するに原決定は処分が著しく不当であるから取消すべきであるというのである。

よつて少年保護事件記録及び少年調査記録に基づき調査するのに、本件道路交通法違反の非行の内容は軽四輪乗用車による指定禁止区間通行、駐車違反、速度違反(指定制限時速三〇粁趣過)、定員外乗車(四人のところ五人乗車)各一件であつて少年は過去に自動車の運転による業務上過失傷害事件を二回起し、道路交通法違反の前歴が七回(そのうちスピード違反三回)あつて、そのうち罰金刑に数回処せられ、原裁判所において不処分決定を二回受けており、右不処分決定の際一回法規等の講習を受けたことが認められる。右の事情に照らすと、少年は度重なる違反検挙に拘わらず、交通法規を遵守しようという自覚と反省に欠けているものとみられ、鑑別結果や少年調査票によると少年の性格に規範性の乏しさがあり、生活態度が多少乱れていることが問題点として指摘され、また少年の家庭は欠損家庭で母は内職をしており少年に対する保護監督力が不充分であると窺えるから、少年に対しなんらかの保護処分の必要性が認められる。しかし、少年は本件により鑑別所に収容されてから深く反省していること(現に少年院に収容され相当自覚と反省も高まつているものと考えられる。)を考えると、従来罰金刑や家庭裁判所における不処分決定の際講習を受けさせ、誓約をさせただけで違反防止に効果がなかつたからといつて保護観察機関の援護等によつて在宅保護が期待できないとは考えられず前記の如き内容の本件によつて直ちに少年院収容処分を言い渡した原決定は処分が著しく不当であると認められる。論旨は理由がある。

以上の次第で、本件抗告は理由があるから、少年法三三条二項により原決定を取消して、本件を原裁判所に差し戻すこととして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 畠山成伸 裁判官 八木直道 裁判官 西川潔)

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