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大阪高等裁判所 昭和43年(ネ)683号 判決 1968年12月16日

控訴人

唐畑顕二

代理人

本家重忠

被控訴人

大門房義

代理人

井上福男

主文

原判決を取り消す。

被控訴人は控訴人に対し金一九万九、三〇五円およびこれに対する昭和四二年一月二〇日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

控訴人のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

この判決は、控訴人において被控訴人に対し金六万五、〇〇〇円の担保を供するときは、仮に執行することができる。

事実《省略》

理由

<証拠>を総合すると、昭和四一年五月二〇日訴外株式会社三和鉄工業の代表者天野留男の妻天野照子が控訴人方を訪れ、みぎ訴外会社を代理して控訴人に対して金員の貸与方を申し入れたが、控訴人から拒絶されたので、今度は訴外迎景明振出に係る額面二一万五、〇〇〇円、支払期日昭和四一年七月二三日、支払地振出地共に大阪市、支払場所福徳相互銀行難波支店、振出日および名宛人欄白地、第一裏書人訴外株式会社三和鉄工業の約束手形一通を控訴人方に持参して、控訴人に対してみぎ手形による貸付けを求めたが、控訴人からみぎ手形では金は貸せないが、みぎ手形に被控訴人の裏書を受けて来ればみぎ手形による貸付け申込みに応ずる旨告げられたので、訴外天野照子はみぎ手形を被控訴人方に持参して被控訴人からみぎ手形の第二裏書人欄に裏書を受けた上、再びみぎ手形を控訴人方に持参して控訴人に交付したので、控訴人はみぎ手形を貸金支払確保のため受取り二か月分二万一、五〇〇円の利息を天引して訴外三和鉄工業(現実には天野照子)に対して割引金金一九万三、五〇〇円を交付し金員の貸与をしたことを認めることができる。みぎ事実関係と原審証人柏正七の証言とを総合すると、訴外天野照子は訴外三和鉄工業を代理して控訴人から金員を借り受けるに当り前記手形を交付したのであり、被控訴人はみぎ訴外三和鉄工業がみぎ手形による貸付けを受ける方法で他から借り入れる債務を保証する意思でみぎ手形に裏書したものと認めるが相当である。原審における被控訴人本人尋問の結果中には、被控訴人は前記手形の振出人である訴外迎景明の資力に信頼して手形上の保証をする意味でみぎ手形に裏書したのであつて、訴外三和鉄工業を保証する意味でみぎ裏書をしたのではない趣旨の供述があるけれども、前認定のように、被控訴人自身でみぎ手形を取得したのでも、またみぎ手形を用いて被控訴人自身のために金融を受けるのでもないにもかかわらず、訴外三和鉄工業の代表者の妻である訴外天野照子の依頼により、既にみぎ訴外会社の第一裏書のある前記手形に被控訴人が第二裏書をした事実に徴すると、被控訴人はみぎ手形面上の直接の前者である訴外三和鉄工業に金融上の便宜を与えるために同訴外会社の消費貸借債務を保証する意味でみぎ手形に裏書したと認めるべきであるので、被控訴人本人尋問の結果中の前記供述部分は措信しない。そのほかに前記の認定を覆すに足りる証拠はない。そうすれば、被控訴人は訴外三和鉄工業がみぎ手形割引の方法で控訴人から借り受けた割引金額相当の債務について保証をしたものであつて、控訴人に対しみぎ手形の支払期日に当る昭和四一年七月二三日限り利息制限法二条一条により計算した借受元金一九万九、三〇五円を支払う義務がある。

以上の理由により、被控訴人に対しみぎ金員およびこれに対する弁済期限以後の昭和四二年一月二〇日から完済に至るまで年五分の割合による金員の支払を求める控訴人の請求は相当として認容すべく、余は失当として棄却すべく、みぎ当裁判所の判断と異る原判決は失当として取り消しを免れない。

よつて民訴法三八六条、九六条、九二条、一九六条を適用し主文のとおり判決する。(宅間達彦 長瀬清澄 古崎慶長)

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