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大阪高等裁判所 昭和43年(行コ)21号 判決 1970年6月24日

大阪市東淀川区三国本町三丁目一五一番地

控訴人(一審原告亡杉村勝次郎相続人。以下同じ。)

杉村アイ

同所同番地

控訴人

杉村将次

同所同第地

控訴人

小山登喜子

豊中市庄内西町二丁目一七番地の九

控訴人

杉村清子

神戸市長田区腕塚町三丁目一番地の一

控訴人

大矢明子

枚方市禁野本町二丁目三番地の七

控訴人

杉村智三

右六名訴訟代理人弁護士

伊場信一

大塚泰二

右伊場信一訴訟復代理人弁護士

藪下豊久

大阪市西成区千本通二丁目二八番地

被控訴人

西成税務署長

右訴訟代理人検事

大村須賀男

同法務事務官

高木国博

赤藤新一

江藤邦弘

同大蔵事務官

辻本勇

本野昌樹

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人ら代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が一審原告亡杉村勝次郎に対し昭和四〇年一月五日付でした右一審原告の昭和三六年分所得税の更正および重加算税に関する決定はこれを取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述ならびに証拠の提出、援用および認否は、被控訴代理人において、新たに乙第二六号証ないし第五五号証(第五四号証は一、二)を提出し、控訴人ら代理人において、当審証人長久保与三郎の証言を援用し、右乙号各証の成立は不知と述べたほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決二枚目裏六行目「長久保宏」を「長久保宏こと長久保与三郎」と訂正する。

理由

一、当裁判所もまた、本件の更正決定および重加算税賦課決定にはなんら違法の点は存しないものと判断する。その理由は、つぎのとおり付加・訂正するほかは、原判決が詳細に説示しているとおりであるから、これを引用する。

(一)  右引用の原判決八枚目表末行から一一枚目表五行目にかけて事実認定の示されている(1)ないし(6)の各事実を総合すると、一審原告亡杉村勝次郎は、昭和三六年三月二〇日、訴外長久保与三郎の仲介によつて、本件宅地を株式会社竹中工務店に代金一億五、五七四万円で売り渡したものと推認することができる。この点につき、原判決八枚目表一二行目の「………売り渡したことが窺い得られるのである」というのは、心証の程度において多少不確実な認定であるかのような説示である。しかしながら、右(1)ないし(6)の各事実によると、事実上の推定として十分な心証が得られるのであるから、原判決のこの点の説示を右のとおり改める。

(二)  当審証人長久保与三郎は、右(一)の事実認定に抵触する趣旨の証言をしている。しかしながら、原判決八枚目裏に示されている(2)の事実や、原判決挙示(九枚目末行)の乙第二二号証および弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第五五号証に照らしても、また右証人長久保の供述態度に照らしても、同証人の右の趣旨の証言は信用することができない。なお、原判決理由八枚目表初行から八行目にかけては、長久保与三郎に対する証人尋問ができなかつた旨説示されているが、当審ではこれを実施することができたので、そのように訂正する。

以上のほかには、右(一)の事実認定および原判決理由第四項(一二枚目表三行目以下)中の事実認定を妨げるべき新たな証拠もない。

(三)  原判決理由中、七枚目表一〇行目「所得額」を「所得税額」に、九枚目裏二行目および一〇枚目表六行目「二、四〇〇万円」を「約二、四〇〇万円」に、九枚目裏八行目「(杉村勝次郎の印鑑証明書)」を「(杉村勝次郎および杉村将次の印鑑証明書)」に、一一枚目表一〇行目「勘くとも」を「尠くとも」に改め、一〇枚目表九行目ないし一二行目において乙第一六号証を挙示するにあたり「成立に争いのない」としているが、これは、「方式および趣旨により真正な公文書と推定すべき」ものであるから、そのように訂正する。

二、以上のとおりであるから、本件の更正決定および重加算税賦課処分の違法を前提とする控訴人らの本訴請求は理由がない。よつて、これを棄却した原判決は相当であるから、民事訴訟法第三八四条、第八九条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 村上喜夫 裁判官 賀集唱 裁判官 潮久郎)

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