大阪高等裁判所 昭和45年(行コ)13号 判決 1971年3月11日
大阪市住吉区釜口町七番地の一
控訴人
俵松林材工業株式会社
右代表者代表取締役
西野久雄
右訴訟代理人弁護士
川根洋三
同
平岡建樹
同市港区桂町一丁目一五番地
被控訴人
港税務署長
藤原多八
右指定代理人検事
上野至
同
法務事務官
岩本昇
同
大蔵事務官
内山勇雄
同
同 安岡喜三
同
同 樋口正
右当事者間の法人税額等更正決定取消請求控訴事件につき、当裁判所は次の通り決定する。
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人が昭和三九年六月二九日控訴人に対してなした、控訴人の昭和三五年一二月一日より昭和三六年一一月三〇日に至る事業年度の法人税につき、所得金額を金二、五八七、三六七円、法人税額を金八八三、一七〇円、翌期以降に繰り越される欠損金額を零円とする更正処分及び昭和三六年一二月一日より昭和三七年一一月三〇日に至る事業年度の法人税につき、所得金額を金七、二八〇、九二六円、法人税額を金二、六六六、七四〇円、翌期以降に繰り越される欠損金額を零円とする更正処分は、いずれもこれを取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。
当事者双方の事実に関する主張、証拠の提出援用認否は、控訴代理人において、甲第四号証を提出し、被控訴代理人において、右甲号証の成立並びに原本の存在を認めたほか、原判決事実摘示と同一(但し、原判決八枚目裏八行目の「(2)」の次に「繰越欠損金の制度は、それが生じた以後の申告納税に際して、益金より当該欠損金を控除して納税を免除する特典を税法により付与するもので、右欠損金の申告は、納税者の権利的申告事項であるから、」を、同九行目の「法人税についても、」の次に「その取扱は、同法の法意に鑑み、同法が適用されたと同様の解釈に依るべきであり、」を夫々加える)であるから、これを引用する。
理由
当裁判所は、控訴人の請求を理由のないものと認めるものであつて、その理由は、左の点を附加するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。
(一) 原判決二〇枚目表八行目末尾に「控訴人は、前記国税通則法の施行前である本件の場合においても、同法の法意に鑑み、同法が適用されたと同様の解釈を採るべきである旨主張するけれども、控訴人の主張するような「確定」の効果は、その前提となるべき基礎事実が、課税庁と申告者との関係において、確認、修正できるような法的手段が確保されていて初めて是認できる筋合のものというべきところ、このような前提手続が法的に要請も確保もされていないことは前述の通りであるから、本件の場合の繰越欠損金の確定について、国税通則法適用下と同様の法的効果を認むべきであるとする控訴人の見解は、たやすく支持できない。」を加える。
(二) 原判決二四枚目表一〇行目末尾に「成立及び原本の存在に争のない甲第四号証を以てしても、本件の場合の繰越欠損金の確定の有無及びその更正の可否に関する上記の判断を左右することはできない。」を加える。
そうすると、控訴人の請求を棄却した原判決は正当で、控訴は理由がないからこれを棄却すべきものとし、訴訟費用につき民事訴訟法第八九条を適用して主文の通り判決する。
(裁判長判事 宮川種一郎 判事 中川臣朗 判事 平田浩)