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大阪高等裁判所 昭和46年(行コ)19号 判決 1972年8月21日

奈良市東同中町九番地

控訴人(原告)

北邨ハル子

右訴訟代理人弁護士

荒木宏

右同

大江洋一

右訴訟復代理人弁護士

坂口勝

奈良市登大路町八一番地

被控訴人(被告)

奈良税務署長

寺野文夫

右指定代理人

二井矢敏朗

右同

遠藤忠雄

右同

中西一郎

右同

樋口正

右同

村上睦郎

右当事者間の課税処分等取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者双方の求めた裁判

控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対してなした昭和四〇年九月二日付昭和三七年分贈与税決定処分(本税額金五二万円)および無申告加算税賦課決定処分(税額金五万二〇〇〇円)を取消す。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。

第二当事者双方の主張および証拠関係

当事者双方の主張および証拠関係は、次のとおり付加するほか原判決事実摘示のとおり(但し、原判決三枚目表一一行目に「第三項1」とあるのを「第三項(三)1」と改める。)であるから、これを引用する。

一  控訴人の主張

1  控訴人が奈良市三条町に移転したのは、本件土地の売却の話がでたので適当な移転先を見付けて移転したものである。

2  本件建物甲は、当初バラツクであつたが、控訴人が店舗として使用しているうちに改装を加える等して改良しているから、独立の建物としての価値があつた。また、それがバラツクであつても、本件土地上に存する以上その建物も本件土地および地上建物の売買の対象に含まれることはいうまでもない。したがつて、それを考慮に入れて売買代金を定めるべきものである。買手が建物を取毀すか、使用するかという主観的目的で建物の客観的価値が変るものではない。

3  建物敷地の使用借権といえども、財産的価値があることはいうまでもなく、そこで営業をしておれば明渡に際して営業補償がなされることは自明である。前記のとおり、本件建物甲から新店舗に移転する契機は本件土地の売却であるから、使用借権に対する対価が支払われるのは当然である。そして、その場合に基準となる額は、約二五〇万円を要した移転改装費をカバーし得るものでなければならない。

二  控訴人の証拠関係

当審証人北邨増治郎の証言を援用した。

理由

一  当裁判所も控訴人の本件請求は失当であると判断するものであつて、その理由は次のとおり付加、補正するほか原判決説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決理由中「証人北邨増治郎」とあるのを「証人北邨増治郎(原審および当審共)」と改める。

2  原判決七枚目表六行目に「本件建物甲のほか」とあるのを「原告所有にかゝる本件建物甲(本件建物甲が原告の所有であることは、後記のとおり、被告において明らかに争わない。)のほか」と改める。

3  同七行目から八行目にかけて「原告の夫増治郎と先妻間に生れた北邨学」とあるのを「北邨増治郎とその後妻である原告との間に生れた北邨学」と改める。

4  同裏三行目に「岩本茂一こと李春成申出により」とあるのを「岩本茂一こと李春成の申出による」と改める。

5  同八行目から九行目にかけて「先妻の子学および後妻の子進一両名」とあるのを「学および進一の両名」と改める。

6  同九枚目表二行目の次に「先妻の子供らとの財産上の紛争を避け、」を加える。

7  同九枚目裏一行目に「店舗附近の交通」とあるのを「店舗附近の道路における自動車交通」と改める。

8  同一〇枚目表三行目に「昭和二六年建築の」とあるのを「もと屋根、壁を欠く未完成建築であつたものを、昭和二六年原告が完成させた粗末な木造トタン葺の」と改める。

二  そうだとすると、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は正当であつて、本件控訴は理由がない。よつて、本件控訴を棄却することとして、民事訴訟法三八四条、八九条、九五条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石崎甚八 裁判官 上田次郎 裁判官 弘重一明)

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