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大阪高等裁判所 昭和47年(ラ)410号 決定 1973年2月06日

第四一〇号事件抗告人 遠江のぶ子(仮名)

第四一一号事件抗告人 岡裕作(仮名)

事件本人 岡一幸(仮名) 昭四〇・四・一一生

主文

本件各抗告をいずれも棄却する。

抗告人遠江のぶ子の当審における追加申立を却下する。

抗告費用は各抗告人の負担とする。

理由

抗告人遠江のぶ子の抗告の趣旨は、原審判に対して、「原審判を取り消す。抗告人岡裕作は事件本人に対して一切面接してはならない。」との決定並びに当審における追加申立として、「抗告人岡裕作は抗告人遠江のぶ子に対し、事件本人の扶養料として本抗告審決定の確定の日の月から事件本人の成人に至るまで毎月金一五、〇〇〇円を、各月三〇日限り友払え。」との決定を求めるというにあり、その理由は、別紙のとおりである。

抗告人岡裕作の抗告の趣旨は、原審判を取り消し、更に相当の決定を求めるというにあり、その理由については、抗告申立書に追つて提出する旨記載されているが、いまだにその提出がない。

一件記録にあらわれた諸般の事情を総合考慮すると、本件の解決策として示された原審判の判断は、誠に適切妥当というべきであつて、当裁判所もこれを支持するものである。よつてことに、本決定の理由として、原審判の二枚目裏一二行目から四枚目裏一一行目までを引用する。

なお、抗告人遠江の前記追加申立は許されないものと解すべきである。右申立は、家事審判法九条乙類八号の扶養に関する処分の申立であつて、当初の申立である同類四号の申立とは別個のものである。家事審判の性質及び制度目的に照らし、家事審判に対する抗告審においては、たとえ原審判事項と関連があつても、これとは異なる新たな審判事項を追加申立して、併合審理を求めることはできないものと解するのが相当である。けだし、家事審判においては、その専門裁判所であり、調査官を擁する家庭裁判所において、職権で十分な調査を尽くし、適当と認める場合は職権で調停に付し、もつて家事事件の適切妥当な後見的解決をはかることを建前としているのであつて、その審判に対する抗告審においては、原審における調査結果をもとにして、原審判の判断の当否を審査するのを本則とするものであるから、前記のような別個の新たな申立は、まず家庭裁判所にすべきものと解するのが、家事審判法の理念にかなうものというべきだからである。

よつて、原審判は相当であつて、本件抗告はいずれも理由がないから、これを棄却し、抗告人遠江の追加申立は不適法であるから、これを却下することとし、抗告費用は各抗告人に負担させることとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 岡野幸之助 裁判官 入江教夫 高橋欣一)

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