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大阪高等裁判所 昭和47年(行コ)14号 判決 1972年12月14日

京都市右京区西京極豆田町一〇番地の一

控訴人

株式会社四宮運輸倉庫

右代表者代表取締役

四宮正雄

右訴訟代理人弁護士

姫野敬輔

北川敏夫

藤井宏

京都市下京区門之町五条下る大津町

被控訴人

下京税務署長

村上健一

右指定代理人

兵頭厚子

立川正敏

畑中英男

安岡喜三

金原義憲

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一、求める裁判

(控訴人)

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人の昭和四〇年一二月一日から昭和四一年一一月三〇日までの事業年度の法人税について、昭和四二年五月三一日付でなした総所得金額を二二、七八七、三三三円、法人税額を八、〇〇八、四二〇円とする旨の更正処分(ただし大阪国税局長が昭和四四年五月一日付でなした裁決により総所得金額二一、五八七、三三三円、法人税額七、五七六、三〇〇円と変更されたもの)のうち総所得金額九、一七三、五八九円、法人税額三、一〇七、四六〇円を超える部分および右更正処分に附帯してこれと同日付でなした過少申告加算税二四五、〇〇〇円を賦課する旨の決定(ただし、右裁決により二二三、四〇〇円と変更されたもの)を取り消す。

3  訴訟費用は一、二審とも被控訴人の負担とする。

(被控訴人)

主文同旨の判決。

第二、事実上の主張および証拠関係

(控訴人)

一、京都簡易裁判所昭和三五年(ユ)第四三二号家屋売渡請求事件の調停成立時において控訴人と伏見信用金庫との間で確認された控訴人の負担すべき債務は次のとおりであつた。

1 京都バネ製作所 五、六四七、九六六円

2 四宮運輸倉庫 二、七九三、九八九円

3 加山源太郎 八二六、一八二円

4 竹田四郎 八三一、九三四円

5 作屋宇一郎 八〇二、四二九円

6 京玩 八六〇、八六四円

7 四宮芳太郎 四六〇、〇五二円

8 四宮運輸倉庫 三、〇〇〇、〇〇〇円

債権回収督促費用 八八五円

合計 一五、二二四、三〇一円

二、右債務は債務名義人は異つているが、その借用金はいずれも控訴人の事業のために借用されたものであるため、右和解成立後昭和三六年度中に控訴人は伏見信用金庫と協議して右債務のうち控訴人名義以外の六口につき債務者を交替して控訴人に変更するとともに八口の債務を合算して一口の債務とした。この債務の更改によつて昭和三二年以前に生じた債務八口は消滅し、控訴人と伏見信用金庫との間に新たに一五、二二四、三〇一円の債務が発生したのである。

三、したがつて、控訴人の伏見信用金庫に対する債務約一、五〇〇万円は本件事業年度開始の日である昭和四〇年一二月一日の前五年以内に開始した昭和三六年度事業年度において生じた欠損金であるから法人税法五七条一項により繰越欠損金として残つた一一、九七九、八八七円を本件事業年度の損金に算入することが許さるべきものである。

(控訴人)

控訴会社代表者本人尋問の結果を援用。

以上のほかは、原判決事実摘示と同じであるからこれを引用する。

理由

当裁判所は控訴人の請求を棄却すべきものと考える。その理由は、原判決理由のうち、原判決九枚目裏五行目から六行目の「必ずしも明確でないが、その要旨は」とある部分、一〇枚目表八行目の「と解しうる」とある部分を各削除し、一〇枚目裏五行目の「原告会社代表者の供述」との記載のつぎに「当審での控訴会社代表者本人尋問の結果」と追加し、一二枚目表一行目末尾の次に、「控訴人は、前記調停成立後、第三者が伏見信用金庫に負担していた債務六口を控訴人において引受けたのでこれによつて控訴人に新たな債務が成立した旨を主張するけれども、右債務は名義上は第三者の債務であつたけれども、実質上は昭和三二年度以前に控訴人の事業のために借用されたものであることば控訴人の自認するところであるので各債務の成立当時から控訴人もまたその支払責任を負つていたと解するのが相当であつて、控訴人の右主張は援用しない。」と追加するほかは原判決理由と同じであるから、これを引用する。

よつて、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないのでこれを棄却し、控訴費用につき民訴法八九条九五条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長瀬清澄 裁判官 岡部重信 裁判官 小北陽三)

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