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大阪高等裁判所 昭和48年(ネ)206号 判決 1974年8月05日

昭和四八年(ネ)第二〇六号控訴人同年(ネ)第一九六号被控訴人

(以下第一審原告という)

大谷コマ

右訴訟代理人

上田潤二郎

昭和四八年(ネ)第二〇六号被控訴人同年(ネ)第一九六号控訴人

(以下第一審被告という)

大谷時松

右訴訟代理人

山口伸六

外二名

主文

第一審原告及び第一審被告の本件各控訴をいずれも棄却する。

昭和四八年(ネ)第二〇六号事件控訴費用は第一審原告の、同年第一九六号事件控訴費用は第一審被告の各負担とする。

事実

第一審原告は、昭和四八年(ネ)第二〇六号事件(以下単に第二〇六号事件という。)につき、「原判決中第一審原告の勝訴部分を除き取消す。第一審被告は第一審原告に対し金二六〇〇万円及び内金一〇〇万円に対する昭和四四年五月二五日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。第二〇六号事件控訴費用は第一審被告の負担とする。」との判決並びに金員請求部分の内金一〇〇万円及びこれに対する附帯金の支払部分につき仮執行の宣言を求め、昭和四八年(ネ)第一九六号事件(以下単に第一九六号事件という。)につき、「第一審被告の控訴を棄却する。第一九六号事件控訴費用は第一審被告の負担とする。」との判決を求め、第一審被告は、第二〇六号事件につき、「第一審原告の控訴を棄却する。第二〇六号事件控訴費用は第一審原告の負担とする。」との判決を求め、第一九六号事件につき、「原判決中第一審被告敗訴部分を取消す。第一審原告の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。」との判決を求めた。<以下、省略>

理由

一当裁判所も、第一審原告の離婚請求が正当であり、その慰藉料請求は金二〇〇万円の限度で正当で、その余は理由がなく、かつ、財産分与として第一審被告に金一、〇〇〇万円の支払を命ずべきものと考えるが、その理由は、次に付加訂正するほか原判決理由欄に記載されているとおりであるから、これをここに引用する。

二1 原判決五枚目裏末行に「原告、被告(第一回)」とあるのを「原・当審における原告、被告(原審においてはいずれも第一回)」と、同八枚目表二行目に「被告本人尋問の結果(第一回)」とあるのを、「原・当審における被告本人尋問の結果(原審においては第一回)」と、同三行目から四行目にかけて「原告本人尋問の結果」とあるのを、「原・当審における原告本人尋問の結果(原審においては第一回)」と、同九枚目裏八行目から九行目にかけて、「原告、被告(第一、二回)」とあるのを、「原・当審における原告、被告(原審においてはいずれも第一、二回)」とそれぞれ訂正する。

2 同一一枚目表六行目を「他方原告は現在長女方に身を寄せ、堺市内の保育所に勤務しているが、他に資産を有しない。」と訂正する。

三財産分与額について

財産分与の制度は、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を精算分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の生計の維持をはかることを目的とするものである(最高裁昭和四六年七月二三日判決、民集二五巻五号八〇五頁)から、財産分与の方法、額を定めるに当つて考慮すべき事情は、右制度目的の達成に関係のある一切の事情であり、従つて一審原告の主張する「婚姻関係が事実上破綻にいたつた当時における。当事者双方がその協力によつて得た財産」のみに限らず、一審原告の否定する「当該訴訟の事実審口頭弁論終結当時における当事者双方の財産状態」も右考慮すべき一切の事情に含まれる。前示認定の事実に本件口頭弁論に顕われた右一切の事情を考慮すれば、本件において第一審被告に分与を命ずべき財産は金一、〇〇〇万円をもつて相当とする。

四そうすると、第一審原告の離婚請求を認容し、慰藉料請求中金二〇〇万円及びこれに対する婚姻関係破綻後でありかつ訴状送達の翌日であること記録上明らかな昭和四四年五月二五日から完済まで年五分の割合による民事遅延損害金の支払を求める限度で認容し、かつ、金一、〇〇〇万円の財産分与を第一審被告に命じた原判決は正当で、本件各控訴はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(小西勝 入江教夫 大久保敏雄)

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