大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。
官報全文検索 KANPO.ORG
月額980円・今日から使える・メール通知機能・弁護士に必須
AD

大阪高等裁判所 昭和48年(ラ)144号 決定 1973年6月12日

抗告人 柴田芳秋(仮名)

相手方 柴田淑子(仮名)

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一、抗告の趣旨および理由は別紙記載のとおりである。

二、当裁判所の判断

原審判は、家事審判規則九五条一項を準用ないし類推適用することによつて、家事審判法九条一項乙類三号の婚姻から生ずる費用の分担に関する終局審判の手続中に、その審判前の臨時処分としてなされたものであるところ、家事審判法一四条は、審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、即時抗告のみをすることができる旨を定め、家事審判規則五一条五〇条によると婚姻から生ずる費用の分担に関する審判に対しては即時抗告ができる旨規定されている。然しながら、右にいう審判は婚姻から生ずる費用の分担を終局的に決定した審判をいうものであつて、本件のような臨時処分としてなされた審判は含まないものと解するのが相当である。そして、他に右処分に対し即時抗告をすることができると解すべき規定はない。元来右のような臨時処分は、当該審判事件の係属する家庭裁判所において当事者双方のその時の事情に従い、職権をもつて、随時必要なものと認めてこれをなし(規則九五条一項)、また相当と認めるときはいつでもこれを取消しまたは変更することができるのであり(同条二項)、要は具体的に妥当な最終結果を導き出すまでの暫定的応急的な処置であるから、その法意に徴し、かかる処分に対する不服申立は許されないものと解するを相当とする。

そうだとすると、原審判に対しては、通常抗告も即時抗告もできないと解すべきであるから、本件抗告の申立は不適法として却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 増田幸次郎 裁判官 西内辰樹 三井喜彦)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例