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大阪高等裁判所 昭和49年(ウ)42号 決定 1974年2月13日

申立人

太田末吉

右代理人

岸田功

外二名

被申立人

太田年治

大阪地方裁判所岸和田支部が同庁昭和四七年(モ)第四一五号不動産仮処分異議事件について

昭和四九年一月一九日言渡した仮執行宣言付仮処分決定取消判決に対し、申立人から控訴を提起し、

強制執行の一時停止を求める申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件申立を却下する。

申立費用は申立人の負担とする。

理由

仮執行宣言付の仮処分取消判決に対し控訴の提起があつた場合、(1)仮処分取消判決の取消又は変更の原因があるとき、若しくは、(2)仮処分取消判決の執行により仮処分債権者に回復しえない損害発生の危険があるときにかぎり、仮処分取消判決の執行の停止を求めうる、と解するのが相当である。けだし、右の場合、民訴法五一二条をそのまま適用すると、仮処分債務者の利益を不当に害することになり、上記(1)若しくは(2)の要件が必要であると解することにより、仮処分債権者と仮処分債務者の利益の均衡をはかりうるからである。

本件において、仮処分取消判決の執行の停止のための上記(1)若しくは(2)の要件を充足する事実は認められない(本件仮処分は、土地所有権に基づく土地明渡請求権を被保全権利とし、被申立人の右土地の占有を解いて執行官に移し、被申立人に対し右土地の占有移転及び右土地上の建物建築工事の続行禁止を命ずることを内容とするものである)。

よつて、本件申立を却下し、申立費用を申立人に負担させることとして、主文のとおり決定する。

(小西勝 入江敏夫 大久保敏雄)

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