大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。
官報全文検索 KANPO.ORG
月額980円・今日から使える・メール通知機能・弁護士に必須
AD

大阪高等裁判所 昭和49年(ネ)1327号 判決 1974年10月25日

神戸市北区八多町下小名田六二九番地

控訴人

森武一

同市兵庫区水木通一丁目

被控訴人

兵庫税務署

右代表者署長

橘堂平

右指定代理人検事

岡準三

訟務専門職 中山昭造

大蔵事務官 岡崎成胤

黒川曻

丸明義

右当事者間の損害賠償請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取消す。被控訴人は控訴人に対し金四八万三、五〇〇円及びこれに対する昭和四九年四月一四日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との趣旨の判決を求め、被控訴代理人は、主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上及び法律上の主張は、原判決の事実摘示と同一であるから、これをここに引用する。

理由

まず、被告適格の有無について按ずるに、控訴人提出の訴状、準備書面の各記載並びに本件弁論の全趣旨を綜合すると、控訴人は、被控訴人が控訴人に対し昭和四七年度分所得税に関し違法な無申告加算税の賦課決定をしたため、右加算税等合計金四八万三、五〇〇円を納付するのやむなきに至り、その結果同額の損害を蒙つたとして、被控訴人を被告として右損害賠償を請求するものと解される。

しかしながら、右のように、国に納付した税金に関して損害賠償を請求するについては、右賠償債務の帰属主体である国を被告とすべきであるところ(国家賠償法第一条参照)、税務署は国の機関ないし官署に過ぎず、前記のような損害賠償債務の帰属主体とはなりえないものであるから、いわゆる被告適格を欠くものといわねばならない。

そうすると、被控訴人兵庫税務署を被告とする本件訴は、不適法として却下を免れないものである。

よつて、右と同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、民事訴訟法第三八四条第一項によりこれを棄却し、控訴費用の負担について同法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 浮田茂男 裁判官 坂上弘 裁判官 諸富吉嗣)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例