大阪高等裁判所 昭和49年(ネ)1518号 判決 1977年7月19日
控訴人
近藤吉徳
右訴訟代理人
井上治郎
被控訴人西岡はる訴訟承継人兼
被控訴人(以下単に被控訴人という)
西岡繁
右訴訟代理人
西岡勇
主文
本件控訴及び控訴人の当審請求を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実《省略》
理由
一控訴人の訴の変更について
本件のように、Xが、「Xは、X所有の建物、甲地(右建物の敷地、地番A)、乙地(甲地の南隣地、地番B)、丙地(乙地の南隣地、地番C)のうち、建物と甲地のみを、Yに売渡したのに、右物件全部につきYへ同一受付番号の所有権移転登記がなされた。」と主張し、乙地と丙地につき登記抹消請求の訴を提起する際、甲地と乙地との地番を受り違え、A番地の土地とC番地の土地につき登記抹消請求(A請求とC請求)の訴を提起し、一審で、右土地は売買目的物件に含まれることを理由とする敗訴判決を受け、控訴審で、A請求を取下げ、B番地の土地につき登記抹消請求(B請求)を追加する訴の変更をする場合、旧請求(A請求とC請求)と新請求(B請求)との間に民訴法第二三二条第一項所定の請求の基礎に変更がないと解するのが相当である。けだし、両請求は、主たる争点(係争地がXY間の同一売買契約の目的物に含まれるか)が共通であり、またそのゆえに、旧請求の主たる争点についての訴訟資料と証拠資料を新請求の主たる争点についての審理に利用できる関係にあるからである。
控訴人の訴の変更により著しく訴訟手続を遅延させることもない。
従つて控訴人の訴の変更は許される。
二控訴人が別紙目録記載の土地を所有していたこと、右土地に控訴人主張の亡西岡俊蔵を権利者とする登記が存在すること、同人の相続関係については当事者間に争いがない。
三そこで、土地買受の抗弁について検討する。
<証拠>によれば、亡西岡俊蔵は、訴外池田貞三の仲介で、昭和二七年五月二二日、控訴人から、別紙目録(一)ないし(四)の土地及び(三)、(四)の地上の建物二戸を代金一四万五、〇〇〇円で買受けたことが認められる。右認定に反する<証拠>は措信できず、当審鑑定の結果も右認定を妨げず、他に右認定を妨げる証拠はない。
そうすると、被控訴人の土地買受の抗弁は理由がある。
四よつて、控訴人の本件控訴及び当審請求は理由がないから、これを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。
(小西勝 松浦豊久 志水義文)