大阪高等裁判所 昭和49年(ネ)1588号 判決 1977年10月28日
控訴人
株式会社幸福相互銀行
右代表者
頴川徳助
右訴訟代理人
北村巖
外四名
被控訴人
石川芳之助
外五三名
右訴訟代理人
川辺渉
外二名
主文
原判決を次のとおり変更する。
京都地方裁判所舞鶴支部昭和四六年(ケ)第七号船舶競売事件について、同裁判所が作成した原判決添付の別紙売却代金交付計算書中、
1 別紙修正表記載の被控訴人らに対する関係で、右売却代金交付計算書交付額欄記載の各交付額を、右修正表の各交付額欄記載のとおり変更し、
2 その余の被控訴人らに対する右計算書交付額欄記載の各交付額を削除し、
3 控訴銀行に対し順位四番として五〇四万六五四八円を交付する旨追加する。
控訴銀行のその余の請求を棄却する。
訴訟費用中別紙修正表記載の被控訴人らと控訴銀行との間に生じたものはこれを五分してその四を控訴銀行の負担として、その余を同被控訴人らの負担として、その余の被控訴人らと控訴銀行との間に生じたものは同被控訴人らの負担とする。
事実
一、控訴代理人は、「原判決を取消す。京都地方裁判所舞鶴支部昭和四六年(ケ)第七号船舶競売事件について、同裁判所が作成した原判決添付の別紙売却代金交付計算書中、順位三番の交付額を零とし、控訴銀行の交付額を金一五一三万九七三一円と更正する。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人ら代理人は、「本件各控訴を棄却する。控訴費用は控訴銀行の負担とする。」との判決を求めた。
二、当事者双方の主張は、次に付加するほか、原判決の事実摘示と同一であるから、それをここに引用する。
(控訴銀行の主張)
(一) 商法八四二条七号所定の先取特権の立法越旨は、社会政策上の考慮によるものだとされるが、それだけが立法趣旨なら、民法三〇六条、商法二九五条所定の先取特権と同列であつて、船員のみが他の労働者に比し強力な保護を与えられる理由として不十分である。そうかといつて船員の職務に、他の労働者と区別して取扱わねばならぬほどの独自性も見出し難い。
ただ通信に時間や費用を要した資本主義初期の時代に、船舶が外地において船員を調達するに当り、船員が船舶を担保としてしか応じ難いことを考慮し、かかる船員を保護しつつ雇傭を容易にする必要性が存したのであり、ここに七号所定の先取特権による保護の理由があつたとしか考えられないのである。
そうだとすれば、現在のように発達した時代にあつては、七号所定の先取特権による保護は、その実質的存在意義を既に喪失したものというべく、被控訴人らにつき七号所定の保護が与えられる理由はない。
(二) 仮に前項の主張が認められないとしても、右七号の規定は、その制定当時の船員雇傭の形態が一航海主義または短期雇傭であることを前提としていた関係上、同条二号や八号所定のような制限を置く必要がなかつたことを反映するところ、最近では船員雇傭の形態も終身雇傭の形態に変つて来たということや前叙のように船員の職務が他の労働者と区別して取扱わねばならぬほどの独自性を有しないことに鑑み、七号所定の債権の範囲をできる限り制限して理解し、船舶抵当権との調和を図るべきである。
これを具体的に言えば、乗船中の船員について、船員法四条所定の基本給で、且つ最後の航海期間中に発生したもの及び乗下船に伴う旅費だけが、七号所定の債権として保護されるべきであり、かく解することが、本号の沿革的な立法理由にも副う妥当な解釈というべきである。
したがつて、被控訴人らが主張する各債権のうち右の限度で本条所定の先取特権が認められることになる。
(三) なお、仮に被控訴人ら主張の退職手当に本条所定の先取特権の保護が認められるとしても、元来退職手当がいわゆる給料の後払い的な性格をもち、在職期間中に漸次発生すること、他方本条の先取特権は発生後一年を経過すると消滅するとされていること(商法八四七条)などに鑑み、その支給されるべき退職手当のうち、被控訴人らの各勤務年数中に占める過去一年間の各乗船期間または過去一年間に跨る各乗船期間の割合に応じた額に限定されるべきである。
(被控訴人らの主張)
(一) 商法八四二条七号にいう雇傭とは、乗船を意味する雇入れから、下船を意味する雇止めまでの状態を指すのではない。これは文理上はもとより、船員法の関係規定や海員雇傭の実態、殊に退職手当や有給休暇の定めが雇止めを契機とするものではないことによつても明らかである。
(二) 右の見地からして、予備船員も右七号にいう船員と解すべきである。すると船員及び予備船員につき雇傭契約によつて生じた債権である以上、労働協約を発生根拠とするものを含めて、その全額につき先取特権が認められるべきである。けだし、先ず文理的にいつて、本条二号は「最後ノ港ニオケル」と、同三号は「航海ニ関シ」と、また同八号は、「最後ノ航海ノ為メニスル」各所定の債権を被担保債権として限定しているのに、本七号にはかかる限定が存しない。船員法四条も単に給料という同法上の用語の定義をしているにすぎず、先取特権の被担保債権を、この範囲にとどめる趣旨ではない。
いうまでもなくこの制度は、予備船員を含む船員の雇傭契約上の債権保護という社会政策的考慮に出るものであつて、先取特権の被担保債権を限定すべき理由がないから、その全額について先取特権が認められるべきである。すくなくとも船舶の保全という共益費用的尺度によつて本号の被担保債権を限定するの論は誤りである。
(三) 以上の次第で本号の債権には、被控訴人らが主張する特別退職手当が含まれると解すべきことは当然であるが、更にこの点について付言する。
船員は退職すると、それまで所属していた海運会社から、労働協約所定の退職年金の支給を受けうるところ、該会社が倒産すると事実上これを受給しえない。のみならず右倒産により船員の再就職の労働条件が極めて悪くなる。かくて特別退職手当は、右に指摘の不利益を填補するものとして、海運会社倒産の際に該会社と全日本海運組合との間で、慣行として協約されている給付金であつて、その額は本給の約一〇か月分相当額である(再就職の労働条件は、この特別退職手当の支給を当然の前提として定められているから、もしこれが支給されないとなると、再就職の船員は、その分だけ不利益を受けることになるのが現状であることも考慮されるべきである)。
かかる次第であるうえ、本号の立法趣旨に鑑みても、特別退職手当は、賃金後払いの性格を有する退職手当の一部として保護されるべきである。
三、証拠<略>
理由
一控訴銀行が、その請求原因として主張する事由により、山陽汽船株式会社(以下、山陽汽船という)に対して有する元利合計金三三九八万七二八二円の債権のため、原判決添付別紙物件目録記載の船舶幸島丸(以下単に幸島丸という)につき、第一順位の抵当権を有することは、原判決説示のとおりであるから、同説示(原判決六枚目表末行から遡つて四行目から同裏二行目まで)をここに引用することとし、幸島丸にかかる京都地方裁判所舞鶴支部昭和四九年(ケ)第七号船舶競売事件において、被控訴人らが、原判決添付の別紙売却代金交付計算書(以下単に交付計算書という)債権の種類及び同額欄記載の各債権(その内訳は原判決添付の別紙債権表のとおり、以下、単に債権表という)につき、船舶先取特権を有するとして交付要求をし、同裁判所がそれらの債権に対し交付計算書交付額欄記載の金員を交付することとして、いわゆる配当表を作成したことは、当事者間に争がない。
二右の交付要求に対して控訴銀行は、被控訴人らが幸島丸の船舶先取特権者の資格及び主張の被担保債権を有することに異議を述べるので、以下検討する。
(一) 商法八四二条は、七号の「雇傭契約ニ因リテ生シタル船長其ノ他ノ船員ノ債権」などについて、船舶などの上に先取特権を認める趣旨の規定である。
いうまでもなく先取特権は法定担保権の一種であつて、優先的保護を必要とする債権が存する場合に、概していえば、その債権発生の場所、原因と緊密な関係がある物を担保物として法定し、もつて該債権の保護を図らんとするにある。
これを本件に即していえば、右法条は、同法二九五条の特別規定として位置づけられ、昭和五〇年法九四号による改正前の同法六九〇条二項(現行「船舶の所有者等の責任の制度に関する法律」四条二号)の規定などと相俟ち、船舶の人的機関を構成する船員ら(特に断らない限り七号所定の船長その他の船員の略称とする)の保護という社会政策上の考慮を主たる理由として、その雇傭契約に因りて取得した債権につき、当該船舶などを担保物として法定し、もつて保護の実を挙げんとするにある。してみれば、右規定は船員らの保護のため、今日でも十分にその存在意義を有するといわなければならない。控訴銀行は、時代の変遷などにより右規定が死文化したかの如くに主張するけれども、独自の見解というほかないのであつて、排斥を免れない。
(二) さて、右の立法趣旨に鑑みると、七号にいう船員らは、雇傭契約にもとづいて特定の船舶に乗組み、継続して当該船舶の航海上の労務に服する地位にあり、恰もその人的機関を構成すると解される者を意味するというべく、これを更に船員法一、二条の文言を藉りていえば、当該船舶に乗組み、船内で使用されている船長及び海員をいうのであり(かように法律により用語に相違があるのは、概念の相対性によるもので異とするに足りない)、その人的機関を構成すると解し難い予備船員を含むものではない。
なお、有給休暇中の船長及び海員は、予備船員と同じく船内で使用されていないのであるが、有給休暇制度の趣旨に照らすと、それらの者は特定船舶の人的機関を構成する地位にある者として、七号所定の船員らに含まれると解するのが相当である。
(三) 次に、当事者間に最も争のある被担保債権について、双方の主張するところに即しつつ、以下考察する。
(1) 先ず七号は、当該船舶の人的機関を構成する船員らについて、「雇傭契約ニ因リテ生シタル……債権」を被担保債権とする旨規定するだけで、他に被担保債権発生上の限定をしていないのである。ところが本条二、三号及び八号の規定には被担保債権発生上の限定が存することや、後述のように本号にも適用のある同法八四七条が保護の時的限界を画していることに鑑みると、法は「雇傭契約ニ因リテ生シタル……債権」である以上、発生上の限定を予想していないと解するのが相当である。してみれば、船員らにつき雇傭契約に因りて生じた総ての債権が、その被担保債権になると解しなければならない。
(2) この点について被控訴銀行は、船員雇傭形態の変遷とか、船舶抵当権との調和という観点から、本号にいう債権は、船員法四条所定の基本給で、最後の航海期間中に発生したものと、乗下船に伴う旅費に限られるべきであると主張する。
確かに公示なき先取特権により担保された債権の増加は、船舶抵当権に著しい不利益を及ぼす結果になることは動かし難い事実である。それでなくとも先取特権制度は、特定の債権者を他の債権者の犠牲において特に保護するため、法律の規定により是認されたものであるから、その規定の解釈に当り厳格な態度をもつて臨まなければならないことはいうまでもないが、そうかといつて特段の事情もないのに、法文上の根拠をもたない限定を加える解釈は許容できないといわなければならない。そして控訴銀行が主張する船舶抵当権の被ることあるべき不利益を、現行法上直ちに本号の債権発生についての限定の理由とすべき特段の事情とは解し難いのであり、他の主張事由は控訴会社の独自め見解であつて、斟酌の限りではない。
(3) ところで、被控訴人らが七号所定の債権として交付要求したものを網羅的に挙げると、給料、有給休暇賃金、退職手当、特別退職手当、越年手当、下船旅費及び組合費未納分である。そこで各関係被控訴人らについて、いうところの債権が生じた否かの検討を一先ず措き、それらが本号所定の債権に該当するか、どうかの点を吟味する。
(イ) 給料、越年手当及び下船旅費の各債権
右のうち下船旅費というのは船員法四七ないし四九条にもとづくものであり、これを含めて右各債権が、本号所定の債権に該当することについては、贅言を要しないであろう。
(ロ) 有給休暇賃金債権
船員法七八条の規定及び原審証人中村五郎の証言によると、右債権は、本件山陽汽船の倒産の如き事情が存する場合に、船員らに対し未消化の有給休暇日数に応じて支払われるべきものであることが明らかである。そうだとすれば右は労働の直接の対価と同様に扱われるのが相当であり、もとより本号所定の債権に該当するといわなければならない。
(ハ) 退職手当債権
右債権は労働の対価としての給料(但し後払い)と解すべきである(最判昭和四三年五月二八日裁判集九一号一三三頁、判例時報五一九号八九頁参照)から、本号所定の債権に該当することについては、多言を要しないというべきところ、控訴銀行において、給料後払いの性格を有する退職手当債権は、その在職期間中に漸次発生すること、そして商法八四七条の規定により本条の先取特権が発生から一年を経過すると消滅することを理由とし、支給されるべき退職手当のうち、本条の先取特権による保護を受けるのは、関係被控訴人らの勤務年数に占める過去一年間内の乗船日数、または過去一年間に跨る乗船期間の割合に応じた額に限定されるべきであると主張する。なるほど商法八四七条は、控訴銀行指摘のとおりの規定であるが、その趣旨とするところは後述のように、既に発生した先取特権の時的限界を画するという方法により、被担保債権の累増を防止せんとするにある。したがつて、かかる趣旨の規定を、控訴銀行主張の如く被担保債権発生上の限定手段として運用せんとする解釈は筋違いというほかない(この点について補足すると、民法三〇八条の規定の適用がある「雇人ノ給料」の先取特権についてならば、退職手当について控訴銀行主張の如くに解釈することは相当というべきであるが〔最判昭和四四年九月二日民集二三巻九号一六四一頁参照〕、前述のように商法八四二条七号は同法二九五条の特別規定として位置づけられるところ、右民法の規定は商法二九五条の一般法であつて、その法条を対比してみても、該民法の規定が本事案に機能しうる余地は全くないといわなければならない)。それに退職手当債権は、退職を機に発生する債権であることも動かしえないところである。してみれば控訴銀行の所論は失当であつて、排斥を免れない。
(ニ) 特別退職手当債権
<証拠>を総合すると、海運会社の倒産などにより船員らが退職を余儀なくされた場合に、該会社と全日本海員組合との協定により、該会社が組合員たる船員らに対して一律に(即ち勤務年数とか乗船期間の長短などを問わないで)、退職時の本給の五か月ないし一〇か月分相当額を特別退職金という名目で支給する旨を約しているところ、これは退職後の再就職に関連して船員らが被ることあるべき将来の不利益の填補とか、再就職までの生活保障の趣旨の給付金であること、本件の特別退職手当も右と同旨のものであることが認められ、この認定を動かすに足る証拠はない。
すると特別退職手当債権は、本号の雇傭契約に因りて生じた債権に該当しないというべきである。
してみれば特別退職手当債権を被担保債権として交付要求をしている債権表記載の被控訴人らについては、同債権の存否を検討するまでもなく、その部分(これに対する遅延損害金を含む)の交付要求を容れることはできないのである。
(ホ) 組合費未納分
<証拠>を総合すると、山陽汽船加入の船主団体と全日本海員門合との間に、いわゆるチエツク・オフに関する覚書が交わされていること、それによると会社が組合の依頼(委任)により組合に代つて組合員から組合費を徴収し、これをまとめて組合に交付することになつていること、本件の山陽汽船は同覚書により組合員たる関係被控訴人らの給料から組合費を徴収しながら、その一部を組合に交付しなかつたこと、組合費未納分というのは、山陽汽船が組合員から徴収しながら、組合に交付していない右金額を指すこと、以上の事実を認めることができ、この認定を動かすに足る証拠はない。
この認定事実によれば、組合からならともかく、組合員たる関係被控訴人らにおいて、山陽汽船の右未納分につき債権を有するとは解し難い。
してみれば組合費未納分につき被担保債権を有するとして、交付要求をしている債権表記載の被控訴人らについては、この部分(これに対する遅延損害金を含む)の交付要求を容れることができないのである。したがつて、以下では、組合費未納分(遅延損害金を含む)についてだけ交付要求している被控訴人ら(債権表須田益美以下川辺渉まで)以外の被控訴人らに対する関係で説示を進める。
(四) 以上の説示を総合すると、幸島丸の船員らとして、その航海上の労務に継続的に服する地位にあつた者が、その地位にあつて取得した給料、有給休暇賃金、退職手当、越年手当及び下船旅費の各債権について、商法八四二条の先取特権による保護が与えられることになる。
もつとも、この保護については時的限界が存するのであつて、先取特権発生から一年の除斥期間内に権利行使がなされない限り、該先取特権は消滅するに至るのである(商法八四七条)。その趣旨とするところは、先取特権により担保された債権が累増することにより抵当権の設定などに支障が生じないようにする趣旨である(このことは、この程度の時的保護をもつて被担保債権の保護が所期の目的を達しうるとしたものにほかならない)。
(五) そこで右の説示に則り、債権表の石川芳之助以下大島好治までの被控訴人らが本号の船員らに該当するか否かの点と同被控訴人ら主張の被担保債権(もとより特別退職手当及び組合費控除分を除く)の存否及び額について判断する。
(1) 海運局作成部分の成立につき争がなく、その余については<証拠>を総合すると、同被控訴人らは、いずれも山陽汽船に雇傭されて、いずれも権利行使としての本件交付要求に及ぶ以前の一年内に、幸島丸の航海上の労務に服していたことが認められ、この認定を動かすに足る証拠はない。
(2) 次に<証拠>を総合すると、前項の期間内の同被控訴人らが、その主張する事由などにより、その雇傭契約により生じた被担保債権として、債権表(1)ないし(4)、(6)及び(7)、即ち給料、有給休暇賃金、退職手当、越年手当及び下船旅費各欄記載の額の債権を取得したものというべく、この認定判断を動かすに足る証拠はない。
そして、右被控訴人らは、右債権合計金額に対し昭和四六年一二月二四日から昭和四七年五月二九日までの間の民法所定年五分の割合による遅延損害金を請求するところ、これが民法三四一条、三七四条の規定により先取特権の保護を受けることは明らかであるから、これを計算すると、別紙損害金欄記載のとおりになる。
すると、右の被控訴人らに対する交付額は別紙修正表の交付額欄(認容債権総額に損害金額を加算したもの)記載のとおりになり、同被控訴人らに交付して、なお金五〇四万六五四八円が残ることになる。
三以上によれば、別紙修正表記載の被控訴人らは、控訴銀行に優先して同表交付額欄記載の債権の弁済を受ける権利を有するが、これを超える申立部分は失当であるから、交付計算書の交付額欄の交付額を、右修正表のとおり変更しなければならない。そして、その余の被控訴人らについては、いずれも船舶先取特権により担保されるべき債権が認められないのであるから、交付計算書から削除しなければならない。
かくして別紙修正表に記載した被控訴人らに交付した前記残額金五〇四万六五四八円は控訴銀行に交付されるべきである。
よつて、右と結論を異にする原判決はその限度で失当であるから、原判決を主文のとおり変更することとし、訴訟費用の負担について民訴法九六条、九二条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(小林定人 阪井昱朗 石田真)
別紙・修正表<省略>