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大阪高等裁判所 昭和50年(行コ)20号 判決 1978年2月24日

神戸市長田区西丸山町一丁目五三番地

原告(二〇号控訴人)

光観光株式会社

右代表者清算人

松本弘久

同市兵庫区西橘通一丁目八番地

原告(同)

諏訪山観光株式会社

右代表者清算人

福西照夫

同市生田区多聞通二丁目八番地

亡井原大一訴訟承継人

原告(二四号控訴人)

亡井原大一相続財産破産管財人

松岡滋夫

原告ら訴訟代理人弁護士

池上治

同市生田区中山手通三丁目二一番地の二

被告(二〇号被控訴人)

神戸税務署長

西岡照雄

右指定代理人

岡崎真喜次

清家順一

高橋正行

筒井英夫

米川盛夫

大阪市東区大手前之町一番地

被告(二四号被控訴人)

大阪国税局長

米山武政

右指定代理人

清家順一

岩城良三

伊森操

右当事者間の課税処分等取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各控訴を棄却する。

控訴費用は原告らの負担とする。

事実

(原判決主文の要旨)

一  原告光観光株式会社(以下「光観光」という。)の被告税務署長に対する

(1)  昭和(以下、略)三八年二月一日から三九年一月三〇日事業年度につき、被告税務署長が四三年三月二九日付でした法人税額等の更正処分の取消(ただし、法人税額につき二八八万七、一八〇円を限度とする。)を求める訴を却下し、同日付無申告加算税賦課決定処分のうち、無申告加算税額二二万八、五〇〇円を越える部分の取消を求める訴を却下し、その余の部分の取消を求める請求を棄却し、

(2)  三九年二月一日から四〇年一月三一日事業年度および四〇年二月一日から同年九月一日事業年度につき、被告税務署長がいずれも四三年三月二九日付でした各更正処分並びに重加算税賦課決定処分の取消(ただし、法人税額は前事業年度につき四〇一万二、九〇〇円、後事業年度につき二一四万三、六〇〇円を各限度とする。)を求める訴のうち、四六年五月二一日付各再更正処分並びに重加算税賦課決定処分により減額された部分の取消を求める部分をいずれも却下し、その余の部分の請求をいずれも棄却する。

二  原告諏訪山観光株式会社(以下「諏訪山観光」という。)の被告税務署長に対する

(1)  四〇年一〇月二〇日から四一年九月三〇日事業年度および四一年一〇月一日から四二年九月三〇日事業年度につき、被告税務署長が四三年三月二九日付でした各更正処分および重加算税賦課決定の取消(ただし、法人税額は前事業年度につき七一六万九、一六〇円、後事業年度につき八七一万九、二〇〇円を各限度とする。)を求める訴のうち、四六年五月二八日付各再更正処分並びに重加算税賦課決定処分により減額された部分の取消を求める部分をいずれも却下し、

(2)  四〇年一〇月二〇日から四一年九月三〇日事業年度にかかる右更正処分(ただし、右再更正処分により一部減額されたもの)のうち、所得金額一、九七九万六、五五九円、法人税額六九三万一、五〇〇円を各越える部分および重加算税賦課決定処分のうち重加算税額二〇七万九、四〇〇円を越える部分をいずれも取消し

(3)  その余の請求をすべて棄却する。

三(1)  被告国税局長が、いずれも四三年一〇月二九日付でした承継前の原告井原大一(以下「亡井原」という。)に対する各第二次納税義務告知処分のうち、原告光観光分につき原判決別紙Ⅲ(一)の、同諏訪山観光分につき同別紙Ⅲ(二)の各記載金額を越える部分をいずれも取消す。

(2)  亡井原のその余の請求はいずれも棄却する。

(請求の趣旨)

1  原告光観光

被告税務署長が、四三年三月二九日付法人税額等の更正通知書および加算税の賦課決定通知書をもつて、原告光観光に対し通知した同原告の

(一)  自三八年二月一日、至三九年一月三一日事業年度分につき所得金額七八六万一、七三七円、法人税額二八八万七、一八〇円、無申告加算税二四万六、三〇〇円

(二)  自三九年二月一日、至四〇年一月三一日事業年度分につき所得金額一、〇九五万五、一八三円、法人税額四〇一万二、九〇〇円、重加算税一三三万八、七〇〇円

(三)  自四〇年二月一日、至同年九月一日事業年度分につき所得金額六二八万〇、一四〇円、法人税額二一四万三、六〇〇円、重加算税七〇万九、二〇〇円

と更正した各課税処分を取消す。

2  原告諏訪山観光

被告税務署長が、四三年三月二九日付法人税額等の更正通知書および加算税の賦課決定通知書をもつて、原告諏訪山観光に通知した同原告の

(一)  自四〇年一〇月二〇日、至四一年九月三〇日事業年度分につき、所得金額二、〇四五万六、二八三円、法人税額七一六万九、一六〇円、重加算税二三四万三、三〇〇円

(二)  自四一年一〇月一日、至四二年九月三〇日事業年度分につき、所得金額二、五五一万二、五四四円、法人税額八七一万九、二〇〇円、重加算税二六七万九、〇〇〇円

と更正した各課税処分を取消す。

3  原告管財人

被告国税局長が、四三年一〇月二九日付納付通知書をもつて、亡井原に対し、

(一)  納税者原告光観光の滞納国税一、〇九四万七、九〇〇円および延滞税(内訳、いずれも年度四二年度、法人税納期限三九年三月三一日二四六万三、四〇〇円、法人税納期限同日二四万六、三〇〇円、法人税納期限四〇年三月三一日三八二万五、九〇〇円、加算税一三三万八、七〇〇円、法人税納期限四〇年一一月三〇日二三六万四、四〇〇円、加算税七〇万九、二〇〇円)につき、

(二)  納税者原告諏訪山観光の滞納国税二、二一四万一、四〇〇円および延滞税(内訳、法人税納期限四三年二月二九日二七万六、〇〇〇円、延滞税五、四〇〇円、法人税納期限同年四月三〇日八九三万〇、八〇〇円、加算税二六七万九、〇〇〇円、法人税納期限同日七八一万一、九〇〇円、加算税二三四万三、三〇〇円、源泉税納期限同日八万二、四〇〇円、加算税二万四、〇〇〇円)につき、

各第二次納税義務者として計三、三〇八万九、三〇〇円を課税する旨の課税処分を取消す。

(不服の範囲)

原判決中原告ら敗訴の部分

(当事者の主張)

次に付加するほか、原判決事実摘示のとおりである。(ただし、原判決事実のうち、「原告井原大一」又は「原告井原」とあるのはすべて「亡井原」に改め、原判決一二枚目裏六行目の「同原告」を「原告光観光」に訂正する。)

一、原告ら

亡井原は原告両会社に対し、トルコ温泉と称する特殊浴場営業の賃貸(商法二四五条に規定されているもの。土地建物はもちろんのこと、その他の営業設備、営業権ないし老舗等の一切を含む。)をしていたもので、単に建物のみを賃貸していたのではない。したがつて、亡井原が原告両会社から受領する賃料は、建物の使用対価たる家賃にとどまらず、建物に付加され組織化された機能的財産(営業財産)の対価であつて、その額は売上金の折半という約束であるから、仮に三和銀行神戸支店の井原千恵子名義の預金が売上除外の性質を有するとしても、これは亡井原が営業の賃貸料として正当に取得したものであつて、無償贈与を受けたものではない。

二、被告ら

右主張は否認する。

理由

一、当裁判所も、原告光観光の本件訴のうち、三八年度分の更正処分、同年度の無申告加算税賦課決定処分中同税額二二万八、五〇〇円を越える部分の各取消を求める訴並びに原告両会社のその余の各事業年度にかかる更正処分(重加算税賦課決定処分を含む。)の取消を求める訴のうち、原告光観光につき四六年五月二一日付再更正処分、同諏訪山観光につき同月二八日付再更正処分により減額された部分の取消を求める訴は、いずれも不適法であつて、原告らのその余の請求(不服部分)はすべて失当と判断するものであるが、その理由は次に訂正・付加するほか、原判決の説示と同一である。当審における証拠調の結果によつても、右判断を左右するに足りない。

1  訂正等

(一)  原判決理由中、「原告井原」とあるのは、すべて「亡井原」に改める。

(二)  同二八枚目裏二行目の「第四号証」を「第五号証」に訂正し、同三一枚目裏一行目の「松本ら」のあとに「の」を加入し、同三二枚目表七行目の「接渉」を「折衝」に改める。

(三)  同三三枚目裏一〇行目から一一行目の「第一号証」を削除し、同末行目の「乙第四号証」のあとに「の一・二」を加入し、同三五枚目表八行目の「乙第二号証の八」を「前掲乙第二号証の八、第三号証、第四号証の一・二」に改める。

(四)  同三六枚目裏二行目から三行目の「成立に争いのない乙第七号証の一・二、同乙第八号証の一・二」を削除し、同三七枚目裏一行目の「乙第三号証」の前に「前掲」を加入する。

(五)  同四一枚目裏三行目の「乙第九、第一〇号証」を「前掲乙第九、一〇号証の各一・二」に改め、同四二枚目表末行目の「乙第六号証」の前に「前掲」を加入し、同裏六行目の「第三」を「前記三」に改める。

(六)  同四三枚目表一行目の「前三」を「前記三」に改め、同じく「甲第一」の前に「前掲」を加入する。

2  付加

原告らは、亡井原は原告両会社に対し、売上金の折半額を対価として受領する約束で営業の賃貸をしたと主張するが、本件全証拠によつても右事実を認めることはできない。

二、そうすると、本件各控訴は理由がないからこれを棄却し、民訴法八九条九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 藤野岩雄 裁判官 中川敏男 裁判長裁判官前田覚郎は、退官につき署名押印することができない。裁判官 藤野岩雄)

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