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大阪高等裁判所 昭和53年(く)86号 決定 1978年10月17日

少年 Y・Z(昭三八・六・二二生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の理由は、少年の作成した抗告申立書に記載されているとおりであるから、これを引用するが、その要旨は、原決定の処分が著しく不当であるというものである。

そこで、少年保護事件記録や少年調査記録によつて、本件非行の内容、少年の生い立ち、性格、家庭環境、これまでの行状や非行歴、学校での状況、さらに、児童相談所のこれまでの処遇の経過などいろいろな点をくわしく調べて検討してみたのであるが、少年の非行性は現在ではかなりすすんでおり、このままでは今後も非行をくりかえすおそれが大きいが、家庭や学校にこれまで以上の指導監督を期待するのはむりであり、児童相談所の処遇の経過からみても、少年の非行性はすでに在宅保護の方法によつて矯正することがむずかしい段階に来ており、少年の将来のためには、むしろ、ふたたび少年を教護院に収容して十分な矯正教育を受けさせた方がよいと思われるのである。

(なお、少年は、自分が今度教護院へ送られることになつたのは、学校の先生が教護院へ送つてくださいといつたためであり、学校の先生さえそういわなかつたら教護院へ送られずにすんだはずだ、というけれども、家庭裁判所が少年を教護院へ送ることにしたのは、前に書いたようないろいろな点を調べたうえ、少年の将来のためを考えてきめたことであり、学校の先生がそういつたからではないのである。)そのようなわけで、少年を教護院に送致するという京都家庭裁判所の処分は、なにも不当ではないから、少年の抗告を容れることはできない。

そこで、少年法三三条一項後段によつて主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 西村哲夫 裁判官 青木暢茂 笹本忠男)

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