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大阪高等裁判所 昭和53年(ネ)2228号 判決 1979年9月26日

控訴人

平井伍

右訴訟代理人

林義夫

被控訴人

森川路夫

右訴訟代理人

竹田実

被控訴人

右代表者法務大臣

古井喜実

右指定代理人

細川俊彦

外二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実《省略》

理由

一被控訴人森川路夫に対する本訴請求について

当裁判所も被控訴人森川路夫に対する本訴請求は失当として棄却すべきものと考える。その理由は原判決の理由摘示と同一であるからこれを引用する(尚被控訴人は過失相殺の主張を予備的にしているにすぎないから、右主張をもつて自己に過失があることを自白したものと言うことはできない)。

二被控訴人国に対する請求について

1  本件登記済証等の偽造文書により本件所有権移転登記が申請され、右申請が受理されて登記が経由されたが、その後抹消されるに至つたこと、右各登記に至る経緯、本件登記済証等申請添付書類の形状についての判断は、原判決理由一三枚目表一二行目から同一六枚目裏一三行目までの理由説示と同一であるからこれを引用する。

2  登記官は登記法の定めるところにより登記申請の受理等登記事務を処理する公務員であることは明らかである。

不動産登記法第四九条同法施行細則第四七条によると、登記官が登記申請を受理したときは遅滞なく申請に関するすべての事項を調査し、その結果申請の欠缺が即日補正された場合を除き、同法第四九条一号ないし一一号の事由があるときはこれを却下すべきこととされている。右調査すべき範囲について明文の規定はないけれども、右調査にあたつては、提出された登記済証を含む申請に関する関係書類の形式的真否を、申請添付書類、既存の登記簿、印影の相互対照などによつて調査すべき権限を有し、不真正な書類に基づく登記申請を却下すべき義務があるというべきである。ところで1に認定の事実によると、本件においては堀端のために所有権移転登記がなされた当時の所轄登記所の官制上の名称は神戸司法事務局西宮出張所であるから、その後の名称変更後の同一出張所である神戸地方法務局西宮出張所登記官としては司法書士の場合と異なり、本件登記済証に押捺された神戸地方法務局西宮出張所なる庁印の印影自体から右官制上の名称の違いにより本件登記済証が不真正であることを看取することが可能であり、これを看過して登記をし、本件登記申請を却下しなかつたのであつて、右登記官には調査においてつくすべき注意義務に違反したものといわざるを得ない。

もつとも1に認定したように本件登記済証、印鑑証明書などの偽造が極めて巧妙精緻である上西宮出張所の現行官制名への変更時期から相当年月が経過し、同出張所職員の中に、右時期について正確な知識をもつている者が少ないこと、及び本件申請受理当時の同出張所職員の事務量が多いことを併せ考えると、本件の場合登記官に対し登記済証の偽造の点を発見し得なかつたことの責任を問うことは些か酷のようでもあるが、登記官には登記制度が不動産取引安全のために果している機能を保持するため高度の注意義務が課されていることを思うと右事実をもつてしても登記官に注意義務違反があるとの前記認定を覆すことはできない。

3  控訴人は、登記官の右注意義務違反の行為により控訴人主張の(一)取引代金を支払い(二)堀端から本件所有権移転登記の抹消登記手続訴訟が提起され、それに応訴するために弁護士を選任し、弁護士費用を支出し(三)本件所有権移転登記、抵当権設定登記を申請するに際し、登録税を支払つたがその還付を受けられず、以上の財産的損害を被つたほか(四)精神的苦痛を受けたと主張する。

(一)  しかし、1に認定の事実によると、控訴人は無権利者と締結した契約に基づいて本件登記申請をする以前に(一)の代金を完済しているのであつて、登記官の登記申請を却下しなかつたことと右代金を支払い返還を受けられないことにより受けた控訴人の損害との間には事実上の因果関係もないのみならず、登記官において本件登記申請を却下したならば控訴人において直ちに対策を講じて売主を追求し、交付した代金を確実に回収し得たものと認むべき証拠もない。

(二)  また控訴人主張の(四)の精神的苦痛も主として無権利者との売買によつて事実上代金の回収をすることができず、また転売利益を得られなかつたなど契約に基づく取引上の損害を受けたことによるものであると認められるから、これも(一)同様事実上の因果関係が認められない。

(三)  次に、登記官が本件登記申請を却下していたならば、(二)控訴人において弁護士費用の支出をせずまた(三)の免許税の還付を受けることが出来たということはでき、その限りでは、両者の間に事実上の因果関係を認めることはできる。

思うに不動産取引においては、登記によつて権利が公示され、公信力がないにしても登記簿の記載を一応真実なものと信じて取引がなされるのが普通であるから、実体上の権利者や登記を信頼して取引をした者に不測の損害を与えないよう取引安全のため登記官に申請調査上の高度の注意義務が課せられているのである。したがつて本件においても、実体関係に付合しない登記がなされたことによつて登記名義を失つた堀端が損害を被つたり、また抵当権者(債権者)が右登記を信頼して控訴人と取引をしたことにより損害を被つたとすれば、登記官の前認定の注意義務違反は違法行為の内容をなすものとして、右行為と損害との間には相当因果関係があるものと認めることができるが、控訴人は右のいずれの場合にもあたらず、本件は控訴人が売主の選択をあやまり本件登記済証を真正なものと誤信して無権利者から買受け、自ら偽造登記権利証を提出して登記申請をし、その結果実体関係に付合しない登記がなされたに過ぎないものであつて、登記官に前述の高度の注意義務が課せられている目的の範囲外に属するものというべきである。そうして不動産を買受ける場合には少くとも売主又はその前主等が登記簿上の所有権者と同一であるか否かその同一性については買主は自らの責任で確認すべき基本的義務があるというべきところ、前認定の事実によると、控訴人は偽造登記済証を誤信し、全く右の確認をすることなく登記簿上の所有者から、転々買受けたと自称する者から極めて短期間の商談により時価よりも安い価格で買受けたことが認められるのであつて、これらの点を考慮すると、控訴人の受けた(二)(三)損害は主として専ら自己の責任においてなした行為に基づくものであり、しかも(三)の損害は真実の権利者からの訴にあえて抗争して弁護士を選任した費用であるというべく、登記官が本件登記申請を却下しなかつた行為は、控訴人に対する限りでは(二)、(三)の損害と相当因果関係にあるものとは認め難い。

4  してみると、控訴人の被控訴人に対する本訴請求もその余の点について判断するまでもなく理由がないというべきである。

三よつて控訴人の請求を棄却した原判決は相当で本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条により主文のとおり判決する。

(谷野美俊 丹宗朝子 西田美昭)

<参考・第一審判決理由>

一 被告森川が兵庫県司法書士会所属の司法書士であることは当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、同被告は昭和二二年に西宮市内の司法書士の事務員となり、昭和二七年に自らも司法書士の認可を受けて爾来同市内で不動産登記の業務に従事してきたものであることが認められる。

二 (偽造文書による登記申請、受理および登記の抹消)

昭和四七年七月二一日、被告森川が原告の代理人として訴外堀端榮之助所有名義の本件土地につき同人から原告への所有権移転登記申請書を作成し、右堀端を権利者と表示する本件土地所有権に関する登記済証および同人名義の印鑑証明書ならびに委任状とともに神戸地方法務局西宮出張所に提出して所有権移転登記申請をなし、これが同出張所登記官によつて審査、受理され、本件土地につき原告名義に所有権移転登記がなされたことは全当事者間に争いがなく、被告森川がその頃原告からの委任を受けて司法書士の業務として右登記申請手続をなしたことは、原告と同被告との間に争いがない。<証拠>によれば、原告は右所有権移転登記を経由して間もなく、堀端から右登記が不法無効であることを理由としてその抹消請求の訴を提起され、右事件に弁護士を選任して応訴したが、昭和四八年一二月一二日神戸地方裁判所尼崎支部において敗訴の判決を言渡され、その頃原告の右登記が抹消されたことが認められる。

三 (登記に至る経緯および登記済証等の形状)

<証拠>を総合すると、

1 訴外横田守雄は知人の鬼頭弥一郎を通じ、昭和四七年七月初旬頃堀端榮之助を権利者と表示する本件登記済証および同人の印鑑証明書等を携えた訴外近江某なる人物より本件土地売買の話をもちこまれ、横田としては他に転売する意思もあつて、同月一七日それまで何度も登記手続を依頼したことのある被告森川の事務所を訪れてとりあえず所有権移転仮登記手続を依頼した。当時被告森川は不在であつたため同事務所の事務員阿部宏が横田らから右登記済証、堀端名義の委任状、印鑑証明書の交付を受け、阿部は登記簿を閲覧するとともにこれと登記済証の記載事項を照合確認し、同人は昭和三一年から四五年まで神戸地方法務局に勤務しその間西宮出張所で登記事務を担当したこともある者であつたが、その際右登記済証等が偽造であることに気付かず、仮登記については右登記済証を利用せずに申請書副本を添付して申請手続をとつたが、横田は他に直ちに転売することを理由に右登記済証および堀端から他に所有権移転登記をするに必要な堀端名義の委任状等を同事務所に預けた。ところで右仮登記に先だち、横田が他に転売する意思のあることを知つた訴外木村哲也らは住宅の建売業者である原告に本件土地売買の話をもちこみ、原告は同人らと現地を見たあとこれを買うこととした。しかるところ、右木村および同人の知人である訴外村上昌市は原告と横田の間に立つて値ざやを稼ぐことを思いつき、同月一九日被告森川の事務所において、原告に対し本件土地は既に村上が買い受けているので村上から買つてくれと申し向け、そこで原告は所有権移転登記に必要な書類が完備していることを事務員から確認して、村上から本件土地を代金二四〇〇万五一〇〇円で買い受け、同日手付金として金一〇〇〇万円を村上に支払つた。そして原告は同月二一日再度同司法書士事務所に赴き、被告森川に対して、登記の方は大丈夫かと訊ね、同人から書類は揃つていると告げられて同事務所で残金を村上らに支払うとともに、被告森川に所有権移転登記手続を依頼した。被告森川は、さきに横田から預つていた登記済証、委任状、印鑑証明書等必要書類の記載事項を確認したうえ、同人も右の関係書類が偽造のものであることに気付かず、堀端から原告への中間省略による所有権移転登記申請書とともに神戸地方法務局西宮出張所に提出した。なお、被告森川および事務員の阿部は神戸地方法務局西宮出張所は古くは神戸司法事務局西宮出張所を称し、その名で登記事務を扱つていたことがあることを知つていたが、官制変更の日時等は知るところでなかつた。

2 ところで、本件登記済証(甲第七号証)は、昭和二三年五月二一日に堀端が訴外中島章順から本件土地を買い受けた旨の売渡証書であつて、同書面末尾には、神戸地方法務局西宮出張所の右日付の登記済印および庁印が押捺され、額面一〇円の収入印紙が貼付されているものであるが、右の日時に登記事務を行つていたのは「神戸司法事務局」であつて、当時官制上は神戸地方法務局西宮出張所は存在せず、また、貼付されている印紙は右の日時には未発行のものであつて(右の二点は原告と被告国との間に争いがない)、何者かが真正な登記済証に似せて作出した偽造文書である。しかしながら、右登記済証に押捺された神戸地方法務局西宮出張所を表示する登記済印、庁印および契印の各印影は、その形状、大きさ、字体において、その後昭和二〇年代から長期間に亘り神戸地方法務局西宮出張所で用いられてきた真正な登記済印、庁印等の印顆による印影と酷似しており(一応の観察によつて同一性を疑うべき程度に相違していると認めうる証拠はない)、登記済証である売渡証書自体は不動産に関する登記手続上屡々用いられている定型的な印刷された用紙であつて、しかも作成時から相当長期の年月が経過していると窺わせるに十分な程度に薄茶色に変色しており、売渡人、買受人の住所氏名等印刷文言以外は全部筆書きであつて、不動産の表示として、「武庫郡鳴尾村鳴尾字砂浜新田壱百弐番の九拾六 地目宅地 坪数壱百四坪参合七勺」と本件土地の昭和二三年当時の表示が右の用字により地積として坪表示によつて正確に記載されているもので、平仮名文字の売渡証書は相当に古い時期から用いられていた。また、本件登記申請書に添付された堀端名務の印鑑証明書(甲第八号証の一および二)はこれを真正な印鑑証明書と比較対照してその相違する個所を容易には見出し難い程度に極めて巧妙精緻に偽造されたものである。

ことが認められ、以上の認定に反する証拠はない。

四 (被告森川の過失)

司法書士は他人の嘱託を受けて、その者が裁判所、検察庁または法務局等に提出する書類を作成し、および登記および供託に関する事務を代行することを業とするものであつて、その業務が国民の権利義務に重大な影響を及ぼす性質のものであるところから、法はその資格を制限したうえ業務を認可にかからしめるとともに、司法書士に非ざる者がこれを業とすることを禁じ、これによつて司法書士に独占的地位を与えているのである。かかる地位にある司法書士が業として登記事務を行うに当つては、およそ不実無効な登記をなして国民に不測不当な損害を与えることのないよう十分注意して業務を遂行すべきであつて、登記事務自体は依頼者の嘱託を受けて交付のあつた必要関係書類をもとに申請書を作成し申請行為を代行するものではあるけれども、その場合の司法書士の職責および嘱託人に対する義務として、関係書類につきその記載内容や印影相互の対照等を形式的機械的に調査するだけで足り、当該書面の形式的真否についてはこれを持参した申請当事者らの判断、責任に属することを理由に調査すべき義務を全く負わないものということはできず、右の点に関しても十分注意して検討を加え、登記申請手続の万全を計り嘱託人の依頼に応えるべきであつて、一見して偽造であることが明白な場合は登記手続をなすべきでないこともちろんであるが、当該書面の形状や押捺された印影等あるいは当事者らの言動等からその真正につき疑念を生じたときは直ちに調査し、もつて適法な申請手続をなす義務があるというべきである。

しかるところ、本件においては、被告森川が横田から提出を受けて預つていた登記済証および印鑑証明書は前認定のとおりのもので、その形状や印影自体からあるいは他の書面と対照してみたとしても、これが偽造であることを看破することは困難であつて、その後登記官が審査した際にも右偽造の点が発見できずに登記申請が受理されていることに徴しても、被告森川がその真正でないことに気付かなかつたのは無理からぬものがあり、本件登記済証につきこれが真正でないことの判断は、昭和二三年五月二一日当時本件土地に関する登記事務を行つていたのが官制上神戸司法事務局西宮出張所であることおよび官制変更の日時、あるいは貼付されている印紙が当時としては未発行であるという印紙発行の日時に関する知識を予め備え、かつその観点から本件登記済証の真否に積極的な調査を加えてはじめて可能というべきところ、被告森川が古くは登記所が神戸司法事務局を称していた時代のあることを知つていたとはいえ、本件登記済証が前記のとおりのものであつてその真否に疑念を抱くべきであつたとはいえない以上、さらに官制変更の日時、印紙発行の日時までをも調査して本件登記済証の真否を確認しなかつたとしても、被告森川に過失があるということはできず、また、司法書士たる被告森川にかかるまでの注意義務を負わすことは酷に過ぎると考えられる。

原告は、本件売買が短期間に異なる権利者の仮登記、所有権移転登記がなされ、多額な代金の授受が行われた通常稀な取引であること、また、原告から取引をしても大丈夫かと念を押されているという事情があるから、この点からも被告森川としては本件登記済証の真否を慎重仔細に検討すべきであつたと主張するが、本件売買の経緯は前認定のとおりであつて、なるほど取引には多数の者が介入し、その一部の者が不正をもくろんだ可能性もないではないが、被告森川はそれまで事務員を通じ仮登記手続を代行しただけで売買の交渉に関与したわけではなく、売買自体も極めて異例な取引に該るということはできず、また、原告が大丈夫かと被告森川に念を押したのは、当面の登記手続の可否を問題としたに過ぎず、登記済証等の真否についてまで特に指定して調査確認を求めたものとは認められないから、右主張はいずれも採用できない。

右のとおりであつて、被告森川が本件登記済証等が真正なものでないことを看過した点につき過失がなかつたというべきであるから、右過失を前提とする原告の被告森川に対する債務不履行(一次的)および不法行為(二次的)に基づく損害賠償請求は、その余について判断するまでもなく理由がない。

五 (被告国に対する請求)

神戸地方法務局西宮出張所登記官が本件登記申請を却下しなかつた点についての過失の存否に関する判断はさておき、原告が被告国に対して請求する損害について検討する。

まず、原告が本件取引において支払つた代金は、本件登記申請がなされる以前に原告が無権利者である売主の村上に支払い交付したことにより既に損害として発生したものであることは原告の主張自体から明らかであつて、登記官が登記申請を却下しなかつたことと相当因果関係はないのみならず、登記官が本件登記申請を却下したならば、原告において直ちに対策を講じて売主らを追求し交付した代金を確実に回収し得たものと認め得べき証拠もないから、右いずれの点からしても原告の右請求は失当であり、次に、原告が訴外堀端との間の訴訟で弁護士を選任したというその費用は、本来自己の判断で取引の相手を選び自己の責任において取引をなすべき原告が無権利者と売買をしてその結果実体関係に符合しない登記を経由したこと自体に基因し、しかも真実の権利者からの訴にあえて抗争して弁護士を選任した費用であり、また、原告が請求する慰謝料は結局のところ代金の回収が事実上不能になつたという取引上の損害に基づく精神的苦痛に対するものと考えられ、右いずれの損害も、登記官が登記申請を却下しなかつたこととの間に相当因果関係を認めることはできないから、原告の右請求も失当である。最後に、原告が本件登記申請等のために出損した登録税額の請求につき、右は登記官において右登記申請を却下すれば原告において納付した税額の還付を受けられるのに(登録免許税法三一条)、登記官が却下することもなく申請を受理して登記をしたため還付を受けられなくなつたことに基づく損害の賠償を求めるものと考えられる。しかしながら、登録税は登記申請の却下という法定事由があつた場合にはじめて還付が受けられるのであり、後日他の原因で抹消を免れない登記であつても、登記簿上の権利者とならんとする者からの登記申請があり、これが受理されて申請どおりの登記がいつたんなされた以上、たとえ申請を審査する過程において登記官に審査の過誤があつたとしても、結局は申請人が国家機関に求めた公証行為が実現されたのであるから、登録税納付の目的は達成されたというべきであつて、もはや還付を受け得る余地は全くなく、その後右登記の抹消を余儀なくされたからといつて損害賠償として登録税額相当の金員の返還を請求することも許されないものといわねばならない。

そうすると、原告の被告国に対する本件損害賠償請求も、その余の点につき判断するまでもなく失当として棄却を免れない。

(朴木俊彦)

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