大判例

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大阪高等裁判所 昭和53年(ラ)478号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

抗告人宮田は、当審において予備的に、相手方両名による本件空地上の建物の建築は、同抗告人の土地との境界線(図面二記載のロハニ線、以下、本件境界線という)より一メートル以上の距離を保持してされるべきである旨主張し、右の範囲内における建物建築禁止の仮処分を申請している。

そこで検討するに、民法二三四条には、土地所有者は隣地所有者が境界線より五〇センチメートル以上の距離を保持しないで建物を建築しようとした場合には、その建築の廃止または変更の請求をすることができる旨規定されているものの、他方建築基準法六五条によれば、防火地域または準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについてはその外壁を隣地境界線に接して設けることができるものと規定しており、同規定はわが国古来の慣習を成文化したに止まる前記民法の規定に対しその特則を定めたものと解するのが相当であるから、建築基準法の右規定が適用される場合には前記規定の適用は排除されるものといわねばならない。そこでこれを本件についてみると、記録によると、本件土地は準防火地域内にあり、相手方中野が本件土地上に建築しようとしている建物は鉄筋コンクリート造四階建(外壁吹付タイル)の車庫付共同住宅でその外壁は耐火構造であることがいずれも認められるから、本件は建築基準法六五条に該当する場合であつて、前記民法の規定の適用は否定され、相手方中野が前記建築物の外壁を隣地との境界線に接して設けることを違法とはいえず、隣地所有者である抗告人宮田もその建築の廃止または変更を請求しえないというべきであるから、同抗告人の予備的申請も、被保全権利の疎明がないことに帰し、認容することはできない。

(石井玄 坂詰幸次郎 豊永格)

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