大阪高等裁判所 昭和54年(ネ)1634号・昭54年(ネ)2061号 判決
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【判旨】
二民法五四一条が、履行遅滞による契約解除の要件として履行の催告を定めているのは、一たん成立した契約を解除により覆滅させるという重大な効果を発生させる前に、債務者に対する最後通告をさせることにより債務者に対して履行の機会を与え契約の効力を存続させようとする趣旨である。
したがつて、債務者が履行の拒絶をしているときでも、原則としてなお債務者にその意思を翻して履行を促すため催告をすべきものである(大判大一一・一一・二五民集一巻六八四頁)。もつとも、取引の敏活を尊ぶ商人間の売買においてその不完全な履行があつた後、買主の完全な履行の催告に対し売主がこれを拒絶した場合などのように、債務者が翻意の余地がないほど確定的な履行拒絶の意思がある旨を表示したときには、催告を要しないでただちに契約を解除し得るものと考える(大判昭三・一二・一二民集七巻一〇八五頁参照)。本件不動産の売買は、商人でない控訴人、被控訴人間で行なわれたもので商事売買でないことは弁論の全趣旨により明らかであり、控訴人が被控訴人に対して昭和五二年一一月三〇日になした履行拒絶の意思が、前示翻意の余地のないほど確定的なものであつたとの被控訴人の主張に副う当審における被控訴人本人尋問の結果の一部は、原判決挙示の各証拠に照らしにわかに措信しがたく、他にこれを認めるに足る的確な証拠がない。
(下出義明 村上博巳 吉川義春)