大判例

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大阪高等裁判所 昭和54年(ネ)2163号・昭55年(ネ)711号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二そこで被控訴人の控訴人らに対する右斡旋紹介依頼に関する報酬の約定につき判断するに、この点につき控訴人らは、右斡旋紹介をした相手方との間にテレホンサービスの委託契約が成立したときはその契約にもとづく売上額の三割の報酬の支払を受ける約定があつた旨を主張し、<証拠判断略>、控訴人松本が被控訴人の営業部長藤沢巨人に電話をした際、同人が、控訴人ら主張の三割の報酬を支払う約定をしたことを肯定するかのごとき発言をしたことが認められるものの、これは控訴人松本の一方的な誘導的発問に対し、単に相槌を打つたものにすぎず、<証拠>に照らすと、同控訴人との対立の感情的対立を避けるため迎合的な応答をしたものとみることができ、たやすく措信できないし、もともと本件委託が前示のとおり顧客の紹介を行うにすぎず、取引の締約を媒介するものではないから三割という報酬は過大であるといえることに照らして、特段の事情のない限り控訴人ら主張の三割の報酬を支払うという特約を認めることができないところ(大判昭一〇・一一・一六大判全集二巻二四号一五頁参照)、前示措信できない証拠のほか右特段の事情ないし毎月三割の報酬特約を認めるに足る証拠がない。しかし、一般に商人が自己の営業の重要な大口顧客の斡旋紹介を委任する場合には、それが個人的情誼による無償の好意的な受任であるなど特段の事情がない限りその費用を含む相当の報酬を受任者に支払うべき約定があるものと推定すべきところ、<証拠>によると、前項認定の被控訴人と控訴人松本個人の間の斡旋紹介依頼の契約において、被控訴人代表者船橋は控訴人松本に対しその斡旋紹介を機縁として相手方との間にテレホンサービス委託契約が成立するに至つたときは、報酬額の具体的な取決めはしなかつたものの、何らかの謝礼をする旨を述べたことのほか前認定の各事実を考え併せるとその斡旋紹介に要した費用、労力及び成立した委託契約により見込まれる収益等に相応する相当額の報酬を支払う旨の黙示の特約がなされたものと推認することができ、前記甲第九号証及び原審における被控訴人会社代表者本人尋問の結果中には、控訴人松本は、控訴人会社と被控訴人との間の前記自動販売機の売買取引関係の誼みによつて好意的に無償で右斡旋紹介の依頼に応じたものであり、また右依頼に際し、被控訴人代表者の船橋が、右斡旋紹介により成約に至つたときは謝礼をすると話したことはあるが、これはその斡旋紹介の対価としてではなく、右の好意的に無償の斡旋紹介に対する贈答の趣旨で話したにすぎないという旨の記載ないし供述部分があるけれども、これらは前記認定に供した各証拠に照らしていずれも措信し難く、他に右斡旋紹介依頼の契約について、前記有償特約の認定を左右するに足る特段の事情を認めるに足る的確な証拠がない。

(村上博巳 吉川義春 藤井一男)

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