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大阪高等裁判所 昭和54年(ネ)324号 判決 1980年2月29日

控訴人(附帯被控訴人)

(合併前の商号)

大阪三洋住宅機器販売株式会社

大阪三洋販売株式会社

右代表者

保津一裕

右訴訟代理人

片山俊一

被控訴人

(附帯控訴人)

今井基八

被控訴人(附帯控訴人)

丸竹電気商会こと

森田新太郎

右両名訴訟代理人

北尻得五郎

右同

川崎裕子

主文

一  本件控訴及び附帯控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の、附帯控訴費用は被控訴人らのそれぞれ負担とする。

事実《省略》

理由

一当裁判所も原判決の認容する限度で控訴人の請求を認容すべきものと判断する。その理由は以下のとおり訂正、附加するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これをここに引用する。<中略>

二本件エアコンの売買は<中略>割賦販売法二条二項のローン提携販売に当たるものであつて、この商品の買主が売主に対し負担する求償債務はその実質において割賦販売代金債務と異なるものではないから、買主の右求償債務不履行の結果売主によつて留保所有権が行使されて商品が売主に取り戻され、買主が売主に対し求償債務の残額から右取り戻された商品の価格を控除した額の金員を一時に支払うべきときは、商品の割賦販売契約が代金債務不履行により解除された場合と同視し、その損害賠償の額及び遅延損害金の額について同法六条が類推適用されるものと考える(最判昭五一・一一・四民集三〇巻一〇号九一五頁参照)。

そして、割賦販売法六条一号の「通常の使用料」とは一般の賃貸借などにおける通常の使用料の額を指し、特別な損耗額を含むものではないし、同号括孤書所定の「返還された時における価額」とは返還商品の中古品としての転売可能価値をいうものであるところ、控訴人主張の標準使用損料表は<証拠>によつても単純な賃借料などの合理的に算定された通常の使用料ないし返還商品の適正な価額を示すものと認められないし、他にこれを認めるに足る的確な証拠がない。

また、右の使用料ないし返還商品の価額は、公正な機関による評価に従い合理的に算定すべきものであつて、予め売主側で使用料算定のための料率表による旨を約款に定めても、合理的算出根拠が認められない限り同表によらねばならないものではない。しかも本件契約においては、買主が売主である控訴人に返還する商品の評価額は「電機業界の商慣習に従い評価することを承諾する」旨の約定が存することは当事者間に争いがないけれども(契約条項8)(甲第一号証)、前示標準使用損料表により評価する旨の約定は本件全証拠によつてもこれを認めるに足りないし、右損料表によることが前示約定にいう「電機業界の商慣習」にまで定着しているとの控訴人の主張に副う当審証人中村靖の証言の一部は、<証拠>に照らしにわかに措信できないし、他にこれを認めるに足る的確な証拠がない。

したがつて、本件エアコンの割賦販売法六条一号所定の「通常の使用料」の算定ないし「返還された時における価額」の評価を標準使用損料表によるべきであるとの控訴人の主張は採用できない。<以下、省略>

(下出義明 村上博巳 吉川義春)

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