大判例

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大阪高等裁判所 昭和55年(ネ)1731号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

本件は、単独所有者X(一審原告、控訴人)が隣接する土地の共有者七名全員を相手として提起した境界確定訴訟で、一審では相手方共有者の線を境界と認めたため、Xが控訴した。

ところが、控訴審になつて、Xが相手方共有者のうち一名からその持分二二分の二の全部を譲受け、登記も経由しているとして右一名に対する控訴を取下げたため、共有地の境界確定訴訟は共有者全員の固有必要的共同訴訟であるとする最判昭46.12.9(民集二五巻九号一四五七頁)との関連で、Xは自らも相手方に加えない限り、本件訴は不適法になるのではないかとの疑いが生じた。一方、右二二分の二の持分の限度においてにせよ、隣接土地が同一所有者に属するに至つたことになるわけで、このような場合に訴の利益を認めてよいかも問題となる(同一人の所有地相互間で境界確定することにつき訴の利益を否定したものとして、東京高判昭51.1.28本誌三三七号二二三頁)。

本判決は、Xの有する持分がわずか二二分の二にすぎないこと、他の共有者と境界につき争いがあり共同行為をすることができないなどの事情があるから、Xを除く他の共有者全員が共同訴訟人になつていれば、当事者適格及び訴の利益につき欠けるところがないとした。

珍しい事案であり、裁判例も見当たらないので紹介する。

【判旨】

一 請求原因1、2の各事実は当事者間に争いがない。もつとも、弁論の全趣旨によれば、控訴人は、昭和四九年二月一五日、四六番の一、四七番の一の各土地につき二二分の二の共有持分権者である安井秀治から右持分全部の譲渡を受けて同月一九日移転登記を経由し、被控訴人らと共に右各土地の共有者となり、昭和五五年一二月一二日の当審第一回口頭弁論期日において、被控訴人安井秀治に対する本件控訴を取下げていることが認められる。

ところで、隣接する土地の一方または双方が共有に属する場合の境界確定の訴は固有必要的共同訴訟と解すべきであり(最高裁判所昭和四六年一二月九日第一小法廷判決、民集二五巻九号一四五九頁)、また、境界確定訴訟は所有者を異にする両土地が隣接し、かつその境界が争いのある所有者間において境界を確定することを目的とし、両土地が同一所有者に属する場合には、右訴は、原則としてその利益を有しないものというべきである。しかし、本件においては、控訴人は四六番の一、四七番の一の土地につき二二分の二の持分を有するに過ぎず、かつ他の共有者である被控訴人らにおいて、右各土地と控訴人単独所有である四八番、五〇番の一土地との境界を争つていて、控訴人は被控訴人らと共同行為をすることができず、しかも控訴人は右四八番、五〇番の一の土地所有者として右境界の確定を求めるべき必要性と利益とを有するものであることは弁論の全趣旨によつて明らかである。そして、このような事情の存在する本件の場合、もともと形式的形成訴訟である境界確定の訴の訴訟構造上、四六番の一、四七番の一の土地につき控訴人を除く他の共有者全員すなわち被控訴人らが共同訴訟人となつていれば足り、したがつて、本件土地境界確定訴訟は、土地の隣接要件の点を除き当事者適格及び訴の利益につき欠けるところがないものというべきである。

(奥村正策 広岡保 森野俊彦)

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