大阪高等裁判所 昭和55年(ラ)478号 決定 1980年11月07日
抗告人 藤田力
主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
一、本件抗告の趣旨は、「原決定を取消し更に相当の裁判を求める。」というにあり、その理由の要旨は、「抗告人は昭和五五年九月三日の本件入札期日に最高価一七三〇万円の入札をして最高価入札人となったが、競落期日前である昭和五五年九月六日最高価入札人の地位を京都市右京区西京極北衣手町三八番地株式会社展元に譲渡し、その事実を神戸地方裁判所に上申した。このような場合には、競落許可決定は譲受人である株式会社展元に対してすべきであって、抗告人に対してしたのは違法である。」というにある。
二、当裁判所の判断
最高価入札人がその地位を競落期日前に第三者に譲渡することは、競売手続を迅速、確実に進行させる必要から、特段の事情がないかぎり許されないものと解するのが相当であり、これと異なる抗告人の主張は採用することができない。
そのほか、記録を調べてみても、原決定を取消すに足りる違法の点はみあたらない。
よって、原決定は相当であって、本件抗告は理由がないからこれを棄却し、抗告費用は抗告人に負担させることとして、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 川添萬夫 裁判官 菊地博 庵前重和)