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大阪高等裁判所 昭和56年(う)1646号 判決 1982年3月03日

主文

本件控訴を棄却する。

理由

本件控訴の趣意は、弁護人榊原正峰、同藤井昭治共同作成の控訴趣意書記載のとおりであるから、これを引用する。

論旨は量刑不当を主張するのであるが、所論にかんがみ記録を調査し、当審における事実取調の結果をも参酌して検討するのに、本件は、昭和五四年一〇月二日詐欺、横領罪により懲役一年二月、三年間刑執行猶予に処せられた被告人が、右猶予期間中で、しかも別件詐欺事件の公判係属中であるのに、またしても、額面総額三、二五〇万円にのぼる手形、小切手の詐欺及びこれに関連して、裁判所の更生会社管財人に対する固定資産処分許可書謄本の写真コピー一通を偽造行使したという事案であつて、各犯行の動機、態様、被害額殊に、原判決が(量刑の事情)欄でも説示するように、犯行の態様が大胆かつ巧妙であり、裁判所の許可文書に対する公的信用を著しく傷つけたほか、詐欺の犯行回数も少なくないうえ、被害額も多額に達し、その回復もごく一部しかなされていないことに徴すると、犯情を軽視することができず、原判示第一の犯行をするに至つたことについては、河合敬治から本件土地の売却を強く求められた事情や、原判示第二の被害者に対し、内金五〇万円を支払い、残金についてもその支払方法につき示談が成立していること、被告人は、既に、前刑の執行猶予も取消されており、原判示確定裁判の刑と併せ、今後相当長期間にわたる服役生活を余儀なくされる状況にあること、その他被告人の反省の度合い等所論指摘の被告人に有利な事情を十分考慮に入れても、被告人を懲役四年に処した原判決の量刑は相当であつて、不当に重すぎるとは考えられない。論旨は理由がない。

よつて、刑事訴訟法三九六条を適用して本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。

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